出版社内容情報
黒船来航で浮き足立つ幕末。海軍伝習所を経てオランダ留学を果たした榎本釜次郎は、観戦武官としてデンマークとプロシアの近代戦争に臨場し、欧米列強を動かす国際法という存在に驚愕する。
佐々木譲、畢生の歴史巨篇ついに文庫化!
内容説明
黒船来航に揺れる幕末。榎本釜次郎(武揚)は、幕府要人の蝦夷地視察に随行した後、新設の海軍伝習所に入所。操船、蒸気機関等の技術や語学を研鑽し、オランダ留学を果たす。欧州の地で近代国家間の戦争を目の当たりにした釜次郎は、日の本と隔絶する列強諸国の有り様に驚愕する―。新田次郎文学賞受賞作を全面改稿した決定版、待望の文庫化!
著者等紹介
佐々木譲[ササキジョウ]
1950年3月、北海道生まれ。79年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。90年『エトロフ発緊急電』で日本推理作家協会賞、山本周五郎賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を、10年『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てつ
51
そう、こういう幕末ものが読みたかった。薩長か幕府かではなく、一人の視点をぶれずに描ききったもの。続きが楽しみ。2018/01/08
如水
42
ぶようでんと読む。誰の事?榎本武揚が主人公。久しぶりの歴史超大作(上巻で500P。同P数が中下と…)。時は幕末初期。混乱期に於いて武揚は…留学中なので無風状態😅何なら幕末の恩恵を受けた、と言っても良い位。但し歴史を知ってる側としたら【この時は】が注釈に入りますが。武揚にしても幕府とは『身分制と形式主義、非合理と前例踏襲主義』と解釈しており、何だかな~と思いつつ(技士官として)留学した様子。その体制を見限ったのが勝海舟…と言う書き方。実はこの「何だかな~」と思ってた事が大きなターニングポイントとなる!予感2021/07/04
リュウジ
11
★4榎本武揚。自分の頭の歴史年表で彼の名が現れるのは江戸無血開城~蝦夷共和国。この小説はもっと以前、彼の幼少から始まる。描かれるのは攘夷だ尊王だと刀を振り回し、藩同士の思惑渦巻く政治小説とは違う、近代日本立国の維新物語。「自分たちは間に合うのだろうか(P205)」と焦りながらも欧州留学。テクノロジーという「実」だけなく、国や法のあり方など多様な知識と応用を身につけ帰国するまでが上巻。昨年の渋沢栄一の大河ドラマに近い。聞いてはいたが勝海舟のことはボロクソ。確かに彼の行動を拾い上げると口だけ達者な政治屋だわ。2022/02/02
ふじもん
9
初佐々木譲さんでした。佐々木譲さんの歴史小説も非常に読みやすく、当たりでした。榎本武揚について外国被れのカッコつけのイメージでしたが不勉強だったようです。中巻下巻楽しみです。2019/07/04
Naoko Fukumi Fujita
9
3番目に好きで、誕生日が同じ作家の本。きっかけは週刊文春や週刊新潮の連載にはまったことでした。時代小説の三部作、しばらく積読状態でしたが先ごろラジオドラマの放送があり、英龍伝」に続き読み始めました。一番好きな作家の「ジョン・マン」連載を購読しているため、すんなりと読めました。品のある表現、人間性そしてせつなさ、たまりません。これからも応援しています!2018/12/05