内容説明
「このような時代においては、笑いは、狂気に対しての安全弁となるのです」。四〇〇巻のNGフィルムを全て閲覧した著者が、初期の短編、『街の灯』『独裁者』等の名作から幻となった遺作「フリーク」まで、喜劇王が作品に込めたメッセージを読み解き、新たな実像を提示する画期的評伝。文庫書き下ろし。
目次
チャップリンの誕生
“放浪紳士チャーリー”の誕生
“放浪紳士チャーリー”の完成
チャップリンの黄金時代
世界旅行と日本
チャップリンの闘い
追放された「世界市民」
チャップリンのラストシーン
著者等紹介
大野裕之[オオノヒロユキ]
1974年、大阪府生まれ。大阪府立茨木高校卒業。京都大学卒業。京都大学大学院博士課程所定単位取得。専攻は映画・演劇学。日本チャップリン協会会長。映画『太秦ライムライト』の脚本・プロデュースなど多方面で活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
C-biscuit
14
図書館の新刊コーナーにあり、先日、独裁者を見たのも縁と思い読んでみる。今尚有名人であるが、実のところ詳しく知らない。そういう人のために書かれた入門書のようであり、まずは映画を純粋に楽しむのが良いと思うが、チャップリンについて知りたくなった場合は、オススメの本である。チャップリンにの研究も行われているようであり、最新の本では、これまでと異なる事実が判明していたりと、新しい本を読む価値を感じる一冊である。写真もふんだんに使用されており、わかりやすい。有名なことなのだろうが、秘書が日本人だったのも驚きであった。2017/05/16
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
10
2017年 4月25日 初版。 私しが一番最初に見たのは、『ゴルフ狂時代』だったであろうか、『黄金狂時代』であろうか、どちらかであると思っているのだが、最後に一人で去っていくところが印象的であった(このときこの人はすごいと思った)ので『サーカス』であったか。。。割と見たつもりであったが、18年以降である事は明白であった。大の親日家で運転手が高野であることは知っていたが、エドナと結婚してなかったのは意外であった。p86『エドナに禁酒を近い』とあるが「誓い」であろう。これだから初版読みが止められない。2017/08/26
スプリント
10
知っていそうで知らないことが多かったです。マネージャが日本人だったということに驚きました。チャップリンの作品をまとめて鑑賞したくなりました。2017/06/04
ジュンジュン
5
「願う事はただ一つ~読者の皆さんが、筆者のように、チャップリンの映画に出会って魅力を発見して欲しい、それだけだ」(あとがきより)。作品を見たことがなくても、何人かも知らなくても(イギリス出身)大丈夫。DVDの監修をも務める第一人者が、喜劇王の波乱万丈の人生と世界観へ導いてくれる。「一人殺せば悪党だが、100万人殺せば英雄だ」(殺人狂時代)の名台詞が、チャップリン作品だと知ってちょっと感動。2019/10/30
Gen Kato
4
チャップリンはほぼ全作品を観ているし、評伝や自伝、研究書も読んできているけれど、新しい解説書が出たとなればやはり手に取ってしまう。つい先日、初期の短篇DVDをまとめ買いしたので、手引書としてもよさそう。香港やインドの「チャップリン」、観てみたいw2018/07/11