内容説明
「豆腐ほどプレーンな食べ物はないのではあるまいか」そこに材料を生かそうという愛の心も生まれるし、工夫も生まれる―。天皇の料理番として知られる秋山特蔵が、料理人人生五〇年の経験から、街場の食堂や家庭料理に至るまで“味”にまつわる想いを語る。自筆挿画六〇点余を収録。
目次
あまから抄(食べごろ;鵜飼;鮎むかしばなし ほか)
宮中の正月料理(宮中の正月料理;私の暦;エビの図 ほか)
パーティーの開き方(大人のための生活手帖;カクテル・パーティー;万人向きのカクテル ほか)
著者等紹介
秋山徳蔵[アキヤマトクゾウ]
1888(明治21)年福井県武生生まれ。1904(明治37)年、華族会館料理部に入り、築地精養軒、三田東洋軒を経て、1909(明治42)年渡欧、フランスで料理を修業、1913(大正2)年帰国、同年宮内省大膳寮に就職、厨司長、初代主厨長となり、大正、昭和の二代天皇家の食事、両天皇即位御大典の賜宴、宮中の調理を総括した。1971(昭和46)年フランス料理アカデミー名誉会員、パリ調理士協会名誉会員、フランス主厨長協会会員となった。1972(昭和47)年辞職、宮内庁御用掛となった。1973(昭和48)年、勲三等瑞宝章綬章。1974(昭和49)年没。享年85歳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぼちぼちいこか
14
エッセイ集。季節の旬の物や食に関する感想などをさし絵とともに味わいながら読んだ。挿絵も玄人はだしでなかなか。やはり一流シェフとなれば絵心も料理の盛り付けも芸術的。でも読んでいてイワシやサンマは安くて美味いとあり、今年はイワシもサンマもお値段が高くなり大衆魚とはいえなくなったなあと思った。さらにウナギの下りでは想像しただけで食べたくなるのを我慢。地球の温暖化に食も変化していると実感した。2020/09/07
森
14
凜とした文章が良い、こなれており、文字が語りかけてくる感じがします、(このような文章がサラサラ書けると良いです。)2017/08/04
西澤 隆
4
小学生の頃堺正章主演で見たドラマ「天皇の料理番」。その主人公が昭和30年代に書いたエッセイは再版で今の書体になっていることを抜きにしても本当に古びていなくて驚く。共働き家庭が多いのだから夕食づくりが女性の負担にならないよう気軽に楽しめる外食のお店が増えるといいという話など、イメージとちがってあちこちに男尊女卑の否定やダイバーシティ的な発想がのぞく。そして田舎の素朴で無骨な良さが中央からの悪い逆流で薄められることを嘆いたりもする。権威であるはずなのにいわゆる「上から目線」も感じない読み心地のよい随筆なのだ。2016/01/03
うた
4
握りめしで思わず唾を飲み、豆腐の味の広がりについて頷き、秋刀魚の脂で週末の夕飯のメニューについて考える。寝る前に読む本ではないな、どうも笑。2015/08/26
niz001
3
初の文庫化なのね。「舌」「味」は知ってたけど、これは知らなかった。確かに簡潔にして要を得た文章。読みやすく品があるよなぁ。2015/08/08