出版社内容情報
一九五五年、日本は「経済大国」への軌道を走り出す。日本人は何を得、何を失ったか。高度経済成長期を現在の視点から遠近感をつけて立体的に再構成する。
内容説明
1955年、再びスタートラインに立った日本は「経済大国」への軌道をひたすら走り出す。未曽有の大変動はサクセス・ストーリーであると同時に、ひとつの「宴」の終焉の物語でもあった。高度経済成長期のドラマチックな内実を、現在の視点から遠近感をつけて立体的に再構成する。
目次
1 戦後十年(国際社会への復帰;石油とパンと;世相の変化)
2 自立と成長(安保改定から所得倍増へ;経済の季節;景観の変貌;繁栄の中の不安)
3 長期政権の到達点(佐藤内閣と沖縄返還;いざなぎ景気;産業社会の病い)
4 揺れる経済大国(外的条件の変化;新たな目標の模索)
著者等紹介
猪木武徳[イノキタケノリ]
1945年、滋賀県に生まれる。68年、京都大学経済学部卒業。74年、マサチューセッツ工科大学Ph.D。大阪大学経済学部長、国際日本文化研究センター所長を経て、青山学院大学大学院特任教授。専攻は労働経済学、経済思想、現代日本経済史。著書に『経済思想』(岩波書店、日経経済図書文化賞)、『自由と秩序』(中央公論新社、読売・吉野作造賞)、など。ほかに論文多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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戦後の復興期からオイルショックまでの歴史を日米関係や石油をはじめとする資源問題、社会の平等化といった観点から描き出す。急速な経済成長によって人びとの暮らしが豊かになった一方で食料や資源の海外依存度が高まったという指摘は重要。パン食が普及による小麦の輸入、石炭から石油へのエネルギー資源の転換が大きかったと言えるようだ。また公害問題や自民党の長期政権の弊害が顕在化するのもこの時期である。こうした負の側面も多分に背負いながらも、オリンピックや万博などを経て日本人が自信と希望を取り戻していったのもまた事実だろう。2019/10/27