出版社内容情報
日本はなぜ対米戦争に踏み切り、敗戦をどう受け入れたのか。リーダー不在のまま戦後再生し、冷戦下で経済大国となった日本の政治に求められたものは。
内容説明
三国同盟にひきよせられた日本は、軍部のすすめる勝算のない武力による現状打破を重ね、自壊した。日本はなぜ対米戦争に踏み切り、敗戦をどう受け入れたのか。国内政治の弱さを内包したまま戦後再生し、冷戦構造下で経済大国として平和と安定の道を求めた日本の政治の有り様とは。
目次
プロローグ 「紀元二六〇〇年」と真珠湾
1 日米開戦
2 敗戦の方法
3 戦後体制へ
4 歩みだす日本
5 保守政治による再生
エピローグ 五五年体制の成立
著者等紹介
五百旗頭真[イオキベマコト]
1943年(昭和18)、兵庫県生まれ。67年、京都大学法学部卒業。69年、同大学院法学研究科修士課程(政治学専攻)修了。広島大学助手・助教授を経て、神戸大学法学部教授。その間、ハーバード大学・ロンドン大学客員研究員、日本政治学会理事長などを歴任。2006年、防衛大学校長に就任し、東日本大震災発災後は内閣府復興構想会議議長、復興庁復興推進委員会委員長を務めた。11年、文化功労者。現在、公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長、公立大学法人熊本県立大学理事長、神戸大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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spanasu
4
日米開戦の決定過程から吉田の退陣までの通史であり、米国側の政治構造や日本側の国内政治と外交の連関をよく描いている。日米開戦の決定過程や首相評からセクショナリズムの弊害や強い首相への訴えが見られ、9条関係では自衛権を当然視するGHQや芦田修正を指摘し、五百旗頭氏の思想を支えるものを感じる。ただ一点だけ不満があるといえば、サンフランシスコ体制を55年体制が支え、55年体制をサンフランシスコ体制が支えたという循環論法で終わるのはそのとおりではあるがどうかと思う。そこは本書の守備範囲ではないのは当然だが。2020/04/02
politics
1
日米開戦から講和会議までを丹念に描かれていて物語のように読み易かった。特にプロローグに当たる章は大変リアリティを感じた。本書を読んで改めて東条よりも近衛に問題を強く感じ、戦後においては国内政治がGHQ、米国、連合国との「外交」に左右されていたということが強く印象付けられた。また東久邇宮や片山などの戦後の短命政権についても理解できたことは良かったと思う。2019/03/16
熱東風(あちこち)
1
内容的には同じ筆者による『占領期』(講談社学術文庫)と同じ。取り上げている時期もほぼ同じだから必然的にそうなる。ただ、本書の方が若干、広く浅くというところか。ラストに「吉田後」(=55年体制)の大まかな流れが分かりやすく簡潔に触れられている。/「55年体制」という言葉が実は60年代の半ばになって初めて出てきたという記述は個人的に少し興味深かった。2014/06/20