中公文庫
月と狂言師 (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 269p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784122046153
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1195

出版社内容情報

昭和二十年代に発表された随筆に、「疎開日記」を加えた全七編。第二次世界大戦中、激しい空爆をさけて疎開していた日々のなかできれぎれに思いかえされる風雅なよろこび。〈解説〉千葉俊二

内容説明

昭和二十年代に発表された随筆に、「疎開日記」を加えた全七編。第二次世界大戦中、激しい空爆をさけて疎開していた日々のなかできれぎれに思いかえされる、平和な日々の風雅なよろこび。

目次

月と狂言師

所謂痴呆の藝術について
同窓の人々
磯田多佳女のこと
「潺湲亭」のことその他
疎開日記

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

双海(ふたみ)

33
昭和19年元旦から始まる「疎開日記」。人の日記を覗くのは(悪趣味かもしれないけれど)おもしろいですよね。「小笠原沖にて航空戦ありしとか、戦艦八隻の外に航空母艦十隻を沈めたりとか流言頻りなり」、「トラック嶋にて戦艦大和が大破(魚雷を六本喰ひたる由)したるも辛うじて沈没を免れ、日本に帰還したりと云ふ」、「魚配給ブリ イワシ」、「午後『細雪』上巻奥附組方考案、吉井勇氏より来書」、「七月十八日、晴 サイパン島陥るとの大本営発表あり」2015/07/18

Noelle

2
「疎開日記」には終戦直前の老作家の疎開生活の様子が詳細に記されている内に、その家族の有り様、交友関係の悉くが浮かび上がっている。また、「『潺湲亭』のこと」や、「月と狂言師」は、終戦後の谷崎の京都での新たな交際の中の豊かな精神的交遊が描かれていて、随筆でありながら一編の舞台劇のような趣である。地唄「雪」とか「多佳女」などは京都での生活が谷崎文学にいかに深く影響していたかと思うような文章だった。2016/04/17

のんき

1
戦後間もない時期に発表された随筆と日記。戦争批判めいたものは「所謂痴呆の藝術について」で出てくるが、正面から取り上げられることはない。語らないことでかえって読むものにその心情が深く伝わってくる。 いやほんと、情の強い人だ。2009/09/03

蕃茄(バンカ)

0
「なぜと云って、あの義太夫の知性に欠けているところ、矛盾や不合理を敢てしてそれを矛盾とも不合理とも感じないところ、まるで小便でもするように簡単に腹を切ったり人を殺したりして、人命の重んずべきを知らないところ、非人間的な残忍性を武士道的だと思っているところ、それらは同時に軍閥政治の特徴でもあったからである」 筒井康隆もこんな感じで陰腹の事をくだらないとボロクソ書いてたなあ2016/06/29

しきりに

0
主に日本の伝統芸能についての随筆群と、残り半分が大戦最後の約一年間に附けられた日記。~私は決して日本音楽の無条件な礼讃者ではないけれども、われわれに真に日本の秋の季節を感ぜしめるものは、矢張自分の国の音楽だけである。~ ――収録作『月と狂言師』,『雪』,『所謂痴呆の藝術について』,『同窓の人々』,『磯田多佳女のこと』,『「潺湲亭」のことその他』,『疎開日記』2016/01/20

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