出版社内容情報
ポルトガル船の渡来によって世界史に登場したジパング。南蛮貿易や海外の日本人町は発展してゆくが、切支丹の禁圧とともに鎖国への道をたどる。〈解説〉池内敏
内容説明
南蛮人による貿易とキリスト教の布教を、近世初頭の日本人はどう受けとめたのか。徳川政権の確立とともに、日本人の海外発展はなぜ禁止され、貿易も唐・紅毛人に限定されたのか。海外交渉史の権威が内外の史料を駆使して、鎖国の実体を復元する。
目次
日本島の発見
長崎開港
伴天連追放令
強硬外交のうらおもて
家康の経済外交
生糸を取引きする将軍
キリシタン禁令
朱印船の貿易
日本町の人々
鹿皮と生糸
大殉教
鎖国への道
ジャガタラ追放
出島の蘭館
国姓爺の使者
オランダのアジア貿易制覇
世界とのつながり
鎖国をめぐって
著者等紹介
岩生成一[イワオセイイチ]
1900年(明治33)、東京に生まれる。25年(大正14)、東京帝国大学文学部国史学科を卒業し、同大学史料編纂所で海外交渉史を担当。29年(昭和4)から45年まで台北帝国大学教授。この間ヨーロッパ各地に学び、膨大な史料類を収集。48年から61年まで東京大学教授。その実証的な海外交渉史研究は海外の学界でも高い評価を受けた。海外史料を紹介する編纂物は多数。88年(昭和63)、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
69
鎖国という切り口で江戸時代の様々な政策や諸大名の考え方あるいは日本人が外地で活躍した状況などを興味深く読ませるように書かれていて私は結構楽しく読むことができました。ヨーロッパとのはじめての接触からなぜ鎖国をせざるをえなかったのかよくわかります。2015/08/06
てつ
41
戦国時代から江戸時代初期の日本と外国との関係を描いた本。このシリーズはこの時代を3つに分け、政治、外交、生活に分けているがその外交の部分。主として朱印船貿易とキリシタン弾圧を記している。何より驚くのは、ここに出てくる史料が外国でしっかりと公文書として残されていること。日本にはそんな意識はなく、たまたま残っていたか、勝者に都合のいい解釈を残した文書だったり。記録は大事です。2021/01/03
umeko
15
現在は更に研究が進んでいるようだが、少なくとも学生時代の「鎖国」という言葉だけを覚えた私には非常に面白かった。2019/02/17
紙狸
11
今は中公文庫に収められているが、1966年刊の全集版を 「日本の古本屋」で買った。月報がついていて、遠藤周作と著者の対談が載っていた。ラッキー!。同年に『沈黙』を出した遠藤はこの本を読んで「面白かった」と言っている。鎖国を宗教、政治に加えて、経済面からも詳しく書いているからだという。的確な評だ。今日読んでも面白い。遠藤がいう、ヨーロッパが日本に「もろにぶつかってきた」時期を多角的に、生き生きと描いている。2021/02/20
あしお
6
日本の歴史の中で「鎖国」の評価はとても重要な論点だと思う。私が子供の頃学校の先生は江戸時代を鎖国された暗黒時代として語っていた。子供の頃はそれを素直に受入れていたが、それはあくまでも開国して近代化した日本から見た歴史観であったと思う。当時の情勢から言えば、十分に合理的な政策だったのだろう。「鎖国」に対する反動からかグローバリゼーションが無批判に語られる事があるけど、付き合うべきでない国とは付き合わない選択肢ってあると思うのだ。2020/09/19