内容説明
ぼくたち夫婦は引っ越し運が悪い。今回の新居は完璧、だったはずなのに…ディンクスの夫婦は互いにぶつかりながら、隣家とまじわりながら、共に生きることを確かめあっていく。四季折々に紡がれた連作短篇『となりの花園』を縦糸に、いとおしい毎日のくらしを横糸に、カラフルに織りあげた12の物語集。
著者等紹介
重松清[シゲマツキヨシ]
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。出版社勤務を経て執筆活動に入る。91年、『ビフォア・ラン』でデビュー。99年、『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞を受賞。2001年には『ビタミンF』で直木三十五賞を受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
102
ニュータウンに引っ越してきた一組の夫婦が主人公。結婚10年、子供なし。9年目にして念願の戸建てに…。夫はファッション誌の編集者、妻は自宅を事務所にCGイラストレーター。この夫婦の隣家とのトラブルを中心に、春・夏・秋・冬の日常を描いた連作四篇を柱に、家族・夫婦をめぐる八短篇の一作。どれも重松さんならではの作品揃いで、ユーモアに富んで読み心地がいいです。とりわけ今作では、妻の夫への抵抗の数々が、上手く描かれていて印象に残りました。2018/12/06
さおり
84
重松さんにしては心が重くならずに読める本でした。読みやすいけど、ちょっぴり物足りない。「分家レボリューション」は、うるっときた。あとは、DINKSの夫婦の連作短編(全部で12の短編があって、そのうち4つだけが、連作になってます)はまぁ良かったかな。うちは決してDINKSではなくてここにしか辿り着けなかった末の今なので、DINKSな人々の気持ちは全然わからないけどもね。重松さんの重みが辛いくせに、次は重いやついきたいなぁとか思っちゃいます、軽いの読むと。2016/06/21
Take@磨穿鉄靴
71
短編集。重松氏の作品なので安心して読める。いろんな家族の姿を見ることが出来て良かった。となりの花園の主人公の夫婦はスカした感じで馴染めなかった。おとなりさんが庭をお花いっぱいにして楽しんだりすることを夫婦で嘲笑したりするのは好きではない。それ以外は楽しめた。最後の「モッちんの最後の1日」は同じ経験をさせた愚かな自分に対し情けなさと娘に対するすまない気持ちで胸がアツくなった。がんばれ!グッチ!★★★☆☆2018/09/18
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
60
図書館**家族小説+ご近所物語**ぼくたち夫婦は引っ越し運が悪い……。今回の新居は完璧、だったはずなのに…ディンクスの夫婦は互いにぶつかりながら、隣家とまじわりながら、共に生きることを確かめあっていく…。(紹介文・他より)――重松さんの家族小説は大好きだ!過度に重くなり過ぎず、さらっと読めてそれでいて、当たり前すぎて見過ごしていた大切なことを、ハッと気付かせてくれる…。本書も12編と1編辺りの文量は相当短いにもかかわらず、行間に隠された心情などが読む人を引きつけるニクイ作品。相変わらず高クオリティの良書!2013/09/15
たか
54
重松清が婦人雑誌に連載していた12の短編集。『となりの花園』の4つの季節を描いた4編 と、その他の8編という構成になっている。 軸となる『となりの花園』は、ニュータウンでの子どもを持たないDINKSの夫婦とお隣の家族との1年を追う連続短編になっている。 ささやかではあるが、人生の忘れられない一部分を切り取った話の数々…。そんな話しを書かせたら重松清の右に出る作家は多くない。C評価2022/06/04