中公文庫
潤一郎ラビリンス〈7〉怪奇幻想倶楽部

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  • サイズ 文庫判/ページ数 299p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784122032941
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1193

出版社内容情報

凄艶な美女による凄惨な殺人劇「白晝鬼語」ほか、日本探偵小説の先駆的作品ともいえる、怪奇・幻想の世界を描く五篇を収める。〈解説〉千葉俊二

内容説明

とうとう地鳴りに追い付かれてしまった―歯痛の錯乱が大地震の恐怖を生む「病蓐の幻想」、妖艶な女による凄絶極まる殺人劇「白昼鬼語」、美食に果てしがない谷崎的欲望を暗示する「美食倶楽部」、猿の魔力にかかった薄幸な芸者の物語「人間が猿になった話」、「魚の李太白」の五篇を収める。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

40
読んでいて何か既視感があると思っていたら、乱歩のこの分野の作品に似ている気がしました。探偵小説的な要素もあったり、あるいは美食倶楽部というから北大路魯山人を想像していたらまるっきり異なり海外小説で似たような作品があったなあという気で読んでいました。ちょっと谷崎にしては珍しい気がしました。2015/01/07

yn1951jp

36
谷崎の妄想小説集。歯痛が極度に達すると音響と色彩を奏で、大地の振動を誘発し大地震の恐怖を生む。美食の探求が支那料理を経て、五感の刺激と口腔マッサージだけで味わう「火腿白菜」、裸女に天ぷらの衣をまぶした「高麗女肉」など感覚の魔術へと至る。クリムトのサロメ(ユーディット)のような美女に殺される願望を、覗きからくりのように節穴から覗く室内殺人劇として描く「白昼鬼語」。「ポオの理知的な想像力によって生みだされた怪奇幻想の世界は、谷崎作品にあって異常な状況設定による感覚の錯乱から創出される怪奇幻想へ(千葉俊二)」2015/08/26

tokko

12
中・短編の五篇が収められていますが、印象深いのは「白晝鬼語」と「美食倶楽部」です。狭い穴から覗き見る不可思議な情景は、直截にその場面を目の当たりにするよりも魅惑的に感じるものです。情報は多ければ多いほど良しとされるきらいがありますが、見えないもどかしさが余計に官能を刺激するものだということがよくわかります。2019/11/13

鏡子

12
「恐ろしい薬だから綺麗なんだわ。悪魔は神様と同じように美しいッて云うじゃないの。(白昼鬼語)」白昼鬼語の、超大掛かりにしておきながら、オチはコロッ、とした感じ。嫌いじゃない。最後の一文、纓子の、小悪魔的ないじらしさ。「悪びれた様子もなく莞爾(かんじ、にっこり、とも読む)として微笑した」魚の李太白は、童話的で、言葉使いが美しくて大好き。「ガラスの目玉から、ポロリポロリと涙を流しました」美食倶楽部は、中国人の異様な食事会、そこで学んだ異様な料理の数々を倶楽部の会員に披露する話。食人の話かと思ったら違った。2015/09/20

みっき

11
【白晝鬼語】を「めっちゃ乱歩っぽいやん」と思いながら読んでたけど、【白晝鬼語】は1918年、江戸川乱歩のデビュー作【二銭銅貨】は1923年なので谷崎潤一郎のが先ですね。最近読んだ乱歩の【押絵と旅する男】と【白晝鬼語】の共通点等が解説に書いてあり、読書の連鎖のおもしろさ感じた。乱歩は谷崎の影響受けてるけど、谷崎はどう思っていたのかな。乱歩の亡くなった2日後に谷崎が亡くなってるのも気になる。当時の新聞記事どうなってるんだろう。2023/09/25

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