内容説明
各地を流浪した足利義昭は、一五六八年、織田信長に奉じられて上洛し、宿願の将軍職に就いた。長らく傀儡にすぎないとされてきた義昭だが、近年では将軍として行使した政治力が注目されている。京都から追放された後でさえ、信長に対抗できる実力を保持していた、とする説もある。上洛後の信長と義昭は果たしてどのような関係にあったのか。強烈な個性を放った二人が、連携から確執、対立へと至る過程を詳述する。
目次
序章 二人の生い立ち
第1章 信長・義昭の上洛と連携時代
第2章 信長と義昭との確執
第3章 信長包囲網の展開
第4章 義昭の挙兵
第5章 将軍追放
第6章 追放後の義昭の動き
終章 信長と義昭の複雑な関係
著者等紹介
谷口克広[タニグチカツヒロ]
1943年(昭和18年)、北海道室蘭市に生まれる。横浜国立大学教育学部卒業。戦国史研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
41
信長と義昭の関係を最新の学説を引用してまとめた一冊。よって範囲は信長上洛から本能寺の変まで。今まで通説だと義昭を傀儡としようとした信長とそれに甘んじない義昭という関係という事になっていた。僕もその通りを信じていたのだが、これを読む限りでは信長は将軍の立場を尊重し、二人の争いもあくまで二重政権の主導権争いという事が現在主流らしい。信長包囲網についても従来の義昭が画策したものではなく、むしろ義昭は信長方だと思われていたらしい。まさに目から鱗。もう少し頁数を取って鞆時代と帰京後の義昭についても触れて欲しかった。2014/09/09
Tomoichi
20
信長と足利義昭との関係に絞った内容だが、信長よりも義昭の方がヤバい気がする。足利家もこれじゃね。殺されなかっただけ良かったね義昭さん。2022/06/18
鐵太郎
11
織田信長と足利義昭の関係について、信長研究が大好きな谷口さんが最新の資料をひっくり返して新たな考察を行ったもの。ただの傀儡と人形遣いの間柄でしかないと思われていた二人の関係が、こんな意外なものだったとは。しかも新たな人物像として、世間体を頭に置く信長、無責任で自儘で無節操な義昭。これだから歴史研究とは面白い...こんな歴史解釈もありか。(笑)2015/12/06
ニシ
8
信長の革新性や強権性ばかりをむやみに強調する風潮が抑えられるようになり、人間的弱点をも露呈した、現実政治家としての信長が一般読者の中に浸透しつつある。果たして上洛した後の信長と義昭との関係はどのようなものだったのだろうか。本書は上洛前後から将軍追放までの約五年間を中心として、二人の関係を描こうとした文献である。~信長研究の第一人者の考察。2014/12/06
電羊齋
7
信長と将軍義昭の関係につき、これまでの研究成果も踏まえつつよくまとまって紹介されている。それにしても、義昭の激しい性格は相当なものだと思う。これまでの義昭に対する貴族的でなよなよとしたイメージがひっくり返った。2014/12/16