中公新書
入門 人間の安全保障

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  • サイズ 新書判/ページ数 274p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121021953
  • NDC分類 319.8
  • Cコード C1231

内容説明

一九九四年、国連開発計画によって、国家ではなく一人ひとりの人間を対象とする「人間の安全保障」が提唱された。以来、頻発する紛争や暴力などの「恐怖」と、世界を覆う貧困や飢餓などの「欠乏」からの自由を目的に発展を遂げてきた。本書は、長年にわたり世界各地で緊急人道支援、地雷禁止条約策定交渉など最前線で活動を続けてきた著者が、自身の実践と国際政治学の知見をふまえて解説する包括的な入門書である。

目次

序章 私たちが生きている世界
第1章 国際社会とは何か―成り立ちと現況
第2章 紛争違法化の歴史と国際人道法
第3章 「人間の安全保障」概念の形成と発展
第4章 「人間の安全保障」の担い手
第5章 「恐怖からの自由」と「欠乏からの自由」
第6章 「人間の安全保障」領域に対する取り組み
第7章 保護する責任
第8章 東日本大震災と「人間の安全保障」
終章 「人間の安全保障」実現のために

著者等紹介

長有紀枝[オサユキエ]
1963年、東京都に生まれ茨城県で育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。同大学院政治学研究科修士課程修了。東京大学大学院総合文化研究科「人間の安全保障」プログラム博士課程修了。博士(学術)。1991年より難民を助ける会で緊急人道支援、地雷禁止条約策定交渉などに携わる。2008年より認定NPO法人難民を助ける会理事長。認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム理事。09年より立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科教授。10年より同大学社会学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

aika

46
いかに自分が、この世界に生きる人々の涙を知らないのか痛感させられました。今手にしている携帯電話は、コンゴの反政府組織の資金源となる物質から作られたのかもしれないという現実。母親をその手で殺し麻薬を口に縫い付けられ、爆撃地で見捨てられる少年兵、一日150円の報酬のため農薬に侵されながら働きづめの少女、大災害の被災者。住む土地や貧富に関係なく、この地球に生きる人ひとりひとりが、たとえ困難な状況にあっても安全に暮らせるために、人に光を当てた「人間の安全保障」の意味を学びながら問い続けていきたいと思いました。2019/12/11

5
人間の安全保障の内容や実践について分かりやすくまとめられている(法律のところは難しかった)。10年前の本なので最新の議論も調べたい。 「「人間の安全保障」は、先進国でも途上国でも、どこでもいつでも人間は、落ちる可能性がある、という想定に立った概念です。…その落ちていく人を何とかぎりぎりのラインで食い止め、能力開発をして、立ち直ってもらおうというプロセス。…人が落ちていくことを想定し、その落ちていく人を救おうという、どちらかといえば、かなり後ろ向きの議論です。しかし、それは、…攻めの守りです。」あとがきより2022/05/05

Sanchai

4
この本は「人間の安全保障」の入門書というだけでなく、この概念が開発途上国だけではなく、日本を含めた先進国にも適用可能で、むしろ適用されないとユニバーサルな概念として世界に受け入れてもらえないことに気付かせてくれる良書だと思う。日本政府も、国際協力の文脈だけではなく、国内政策でも「人間の安全保障」の実現をもっと目指す必要がある。序盤の数章は人間の安全保障とは直接関係しない話が続くが、後半はすごく良かった。実際、この概念が他の地域でどう受け入れられているのかが書かれているともっと良かった気がする。2015/04/05

Gasse

2
著者は、立教大学大学院教授・特定NPO難民を助ける会(AAR Japan)理事長。「人間の安全保障」という、比較的新しい考え方について知ることができる「入門書」ではあるものの、なかなか難しい。自分なりに可能な範囲でまとめてみたい。まず、人間の安全保障はかなり範囲が広い。軍事的な安全保障だけでなく、いわゆる「人権」と呼ばれる領域を網羅しており、「個人」の「恐怖と欠乏からの自由」を保障するものである。2018/07/08

Moloko

2
人間の安全保障については、古典的な自由主義論とも対比して考えれば、古典的な自由主義からスタートすると自分達の共同体外に置かれている人々を介入して助けるという発想がない(要は社会契約の外の人間だから)。人間の安全保障の場合は、人道的な観点もあるが、テロリズムの波及防止や感染症の防疫といった観点も含めて、政治的共同体(自国)以外にいる人々の人間としてあるべき生活も守るという考え方があるのではと思った。2016/06/21

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