内容説明
和歌や俳句のいのちである季語。その代表は花である。世に花を愛でない民族はあるまい。だが、花道や能楽といった文化をもつ日本人の、花へまなざしは特別だ。花ばかりか、草木や鳥獣虫魚、万物の美しさを讃えた先人たちの細やかな精神を、我々は保てているだろうか。本書は「花なるもの」をテーマに、一〇〇篇のコラムを収録。豊富な句歌詩文から、自然の美が浮かび上がる。巻末に花人・川瀬敏郎氏との対談を収めた。
目次
春(梅;椿;萌 ほか)
夏(葉桜;新緑;青葉 ほか)
秋(秋草;朝顔;木槿 ほか)
冬(茶の花;帰り花;小春 ほか)
新年(松;ヒイラギ;餅 ほか)
著者等紹介
高橋睦郎[タカハシムツオ]
1937年(昭和12年)、福岡県生まれ。福岡教育大学卒業。詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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高槻
2
花そのものについてや日本人の花に対する感覚について、それらがうたわれた和歌や俳句、詩等を紹介しながら論じているが、この本では「花」=季節ごとの風流を感じさせるものとしており、ほととぎすや月、餅等もその論考のテーマに挙げられている。日本人が自然や行事、風流物に対して抱いてきた意識の奥深さ、歴史の長さを知り感慨深くなった。季節の変化を鋭敏に感知し、それに心を動かすことができるのは素敵なことだなと思う。2014/02/27
やんも
1
和歌、俳句にとどまらず、近代詩、歌詞、『源氏物語』や『徒然草』などにも言及があり、短い文章にも広く深い世界への窓が開いている。引用された歌や句を味わっていると、なかなか読み終えられません。季語の迷宮にご用心。続編『歳時記百話』も出てますけど、ふふ……。2014/01/15
ruri
0
魂を季節散歩へ連れ出すような感覚がした2017/10/24
アンコ椿
0
花を知らないこと痛感。名前を聞いたことはあるものの、実際にイメージがわかない。図鑑をめくって、追っかけてみる。2012/10/09