内容説明
ボスに統率されたニホンザルの群れは人間社会にとっても大変示唆するところの多い社会構造と考えられてきた。しかし雌や食物の確保をめぐる厳しい優劣関係と競争原理を伴うサル社会は、本当にすばらしいあり方をしているのだろうか。一人でぬけ出すわけにはいかない人間社会ならいざ知らず、なぜ弱いサルは強いサルに抑圧されながらも一緒にいつづけるのか。この根本的な問題を解きほぐしつつ、霊長類の社会構造の見直しを試みる。
目次
第1章 ニホンザルの社会構造―これまでの理解
第2章 動物はなぜ集まるのか―集合の基本原理
第3章 どうしてひとりで離れていくのか―集合と分散
第4章 劣位個体がなぜ一緒にいるのか―優劣順位の意味と意義
第5章 どんなときに分裂するのか―個体の分散と群れ分裂のメカニズム
第6章 集まったり離れたりするのはなぜか―離合集散と異種混合のメカニズム
終章 生物としての生き方を探る
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
田蛙澄
3
猿の群れの構造を食料資源と繁殖資源、安全などの観点から分析し、食料の豊富さや気候的な条件から順位の有無などや群れの大きさが決まり、さらに発情期間なども決まって、そこから単雄や複雄、ペア型などの繁殖の修正が規定され、それぞれの猿ごとに種や遺伝的制約がありながらも、環境に合わせたかなり幅広い柔軟性があるという点が分かって、生態学の面白さを感じだ。それにしても何か月も猿を追跡する野外観察は大変そうだなと思う。2020/08/24
佐藤太郎
0
面白い。飼育された猿だけでなく、野生の猿の群れについても調べている。 図書館で借りたんで全部読めなかったからまた借りようかなと思う2015/04/09
クロスリバーゴリラ
0
なぜ群れるのか。なぜ上下関係が厳しいのに一緒にいるのか。それは飯と性。というすごくシンプルに論点を絞って話を進めてくれるのでそれだけ頭に入れておけば読みやすい。基本的にはニホンザル研究を基にした内容でたまに他の霊長類が例として挙げられる。必要な図もデータも引用文献もちゃんと載ってるとても良い本。2023/08/09
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