デンジャラス

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  • サイズ 46判/ページ数 287p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784120049859
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

三番目の妻・松子とその妹・重子を傍に置きながら、重子の義理の息子の嫁・千萬子を寵愛した谷崎潤一郎。女たちの嫉妬と葛藤が渦巻くなか、それに翻弄される自分自身の姿までも創作の糧とした文豪の尽きせぬ「業」を、作家・桐野夏生がさらに新たな小説へと昇華させる。晩年の谷崎潤一郎と女性たちが一つ屋根の下で繰り広げた四角関係をスキャンダラスに描く。気に入った女たちを周囲に侍らせ、観察するという「男の夢」の完成と崩壊は、好評だった最新刊『猿の見る夢』とつながるテーマ。また、女性の一人語りで展開される濃密な物語はヒット作『グロテスク』にも通じるところがあり、桐野氏の新たな代表作として広く手にとってほしい。

内容説明

君臨する男。寵愛される女たち。文豪が築き上げた理想の“家族帝国”と、そこで繰り広げられる妖しい四角関係―日本文学史上もっとも貪欲で危険な文豪・谷崎潤一郎。人間の深淵を見つめ続ける桐野夏生が、燃えさかる作家の「業」に焦点をあて、新たな小説へと昇華させる。

著者等紹介

桐野夏生[キリノナツオ]
1951年、金沢市生まれ。成蹊大学卒。93年『顔に降りかかる雨』で江戸川乱歩賞、98年『OUT』で日本推理作家協会賞、99年『柔らかな頬』で直木賞、2003年『グロテスク』で泉鏡花文学賞、04年『残虐記』で柴田錬三郎賞、05年『魂萌え!』で婦人公論文芸賞、08年『東京島』で谷崎潤一郎賞、09年『女神記』で紫式部文学賞、10年『ナニカアル』で島清恋愛文学賞、11年同作で読売文学賞を受賞。15年、紫綬褒章を受章(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

498
作家というものは、就中作家の創作にかける執念は凄まじいものだ。谷崎が病に苦しみながら、動かぬ腕を叱咤しつつ千萬子と数々の往復書簡を交わし、『瘋癲老人日記』を書いた時は70歳を越えていた。一方、それを描く桐野は本書の執筆当時、60代の前半。すでに大家と認められていた谷崎にして、常に新しい境地を求めて苦闘(それは快楽でもあったが)していた。桐野にしてもエンターテインメント作家としての地位は揺るぎないだろう。これまでと同じようなものを書いていれば売れるだろう。それでも、あえて挑戦する桐野はまさに本物の作家だ。2020/05/12

starbro

276
桐野夏生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。谷崎潤一郎のオマージュ作品、谷崎潤一郎没後50年、中央公論新社創業130周年を記念して書かれた作品でしょうか?大谷崎潤一郎のポイズンが結果としてデンジャラスだったのかも知れません。谷崎潤一郎全集(全26巻)を読むかどうかは思案中です!2017/07/05

yoshida

243
谷崎潤一郎の築いた「王国」。そこには「細雪」のモデルとなった妻の松子と妹の重子、沢山の女中が住む。王国には義理の息子の妻である千萬子も加わる。「細雪」の「雪子」のモデル、重子の目線で描かれる王国記。王である谷崎潤一郎は移り気で、小説で発表する。女性達の矜持を顧みない。また、老いても若い千萬子に情念を燃やす姿に鬼気迫るものを感じた。そして最後に選択を迫られた末の谷崎潤一郎の敗北が、彼の情念を奪い死を近付けたと言える。世間は谷崎の作品を受け止め、現代でも読み続ける。そこには人の真理が描かれているからと思う。2018/02/19

のり

196
文豪・谷崎潤一郎。妻の松子、義妹の重子。そして義娘の千萬子。絶対君主を中心に愛され、守られてきた彼女達。その対価として谷崎文学に影響を与えたのも事実なのかも知れない…守られるだけではなく、守った感もある意味ある。谷崎の創作意欲を掻き立てるには余りある生きたサンプルでもある。これを期に谷崎文学に挑戦してみよう。2017/12/18

雪風のねこ@(=´ω`=)

152
細雪、雪子のモデルとなった重子の主点で描かれる。独白に近いので読了後、一番兄を独占したかったのは重子では無かったかと気付く。気付く所が底知れぬ業の深さを思わされ震撼する。女は男に視られる事によって美しく輝き、男はそんな女に照らされ生を得るのである。谷崎潤一郎著作は細雪しか読んでないが、フェチズム全開なんだろうなぁと思う。善し悪しは兎も角、動植物と同じく自然の摂理が埋め込まれているのだろうと思う。その反理性的な部分が、現世の人間に受けるのだろうと思う。2018/01/02

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