出版社内容情報
私たちの祖先はなぜ土器に美を求め、農耕とともに戦争を始め、巨大な古墳を造ったのか？ モノを分析して「ヒトの心の進化」に迫る、考古学の最先端！
内容説明
地球に生きるヒトの身体の基本設計とは何か？私たちの祖先は縄文時代になぜ土器に美を求め、農耕とともに戦争を始め、紀元後に巨大な古墳を造ろうとしたのか？また、文字の衝撃をどう受けとめたのか？旧石器時代から古墳時代まで―モノを分析して「ヒトの心の歴史」に迫り、日本人の原像をも問い直す考古学の最先端。
目次
第１章 ヒトの基本設計―進化考古学とは何か
第２章 美が織りなす社会―ホモ・エステティクスの出現
第３章 形はなぜ変化するのか―縄文から弥生へ
第４章 狩猟革命と農耕革命―現代文明社会の出発点
第５章 われら倭人なり―民族の誕生
第６章 ヒトはなぜ巨大なモノを造るのか―人類史のなかの古墳時代
第７章 文字のビッグバン―国家形成の認知考古学
著者等紹介
松木武彦［マツギタケヒコ］
１９６１年、愛媛県生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。現在、岡山大学文学部准教授（専攻は日本考古学）。モノの分析をとおしてヒトの心の現象と進化を解明し、科学としての歴史学の再構築を目指している。２００８年には『列島創世記』（小学館）でサントリー学芸賞を受賞（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
32
人間とは何なのかということを考えさせられる本。石斧、縄文土器などの遺物、ストーンサークル、前方後円墳などの遺跡について、それを作った人の心を思い描き解説しています。人類である以上、様々な構造物を目にして感じる感覚は現代人と変わらない。だからこそ世界中でほとんど時を同じくして似たようなモノが作られている、ということに驚きました。日本だけエジプトだけなど一つの文明に特化せず世界的な視野から俯瞰して歴史を見られるのが新鮮です。2016/05/06
はるわか
15
私たちの心と身体に刻み込まれているヒトの進化の歴史。コーカソイド・モンゴロイド・ネグロイド、人類の均一性、全人類共通の祖先の一人「ミトコンドリア・イヴ」（20万年前のアフリカの女性、DNA分析による）。腕と指先。石器。物をあやつる心。表象の能力－ヒトがヒトたるゆえん。道具の完成。美が織りなす社会、見えるものと見えないもの、御子柴型の石ヤリ。縄文美、美に反する美。土器。分業。農耕：階層、戦争、遠距離交渉。ヒト社会の重層性。民族の誕生、血から知の伝承へ。世界観と巨大なモニュメント、古墳。文字と国家形成。2019/05/31
月をみるもの
11
まさに BEATLESS （ https://bookmeter.com/reviews/70672378 ）の直後に読むべき本だった。絶妙のタイミングで出会えてラッキー！ "「僕らは一体、いつからここへの道を歩きだしたんだろうな」 「道具を財産として、親から子へ相続するようになったころが起点でしょう。サルは道具を相続しませんから」"2018/03/17
はちめ
7
タイトルに惹かれて読んだが残念な感じ。旧石器時代くらいまでは何とか共感できるが、ホモサピエンス以降は理解できない。認知心理学に関する抽象的な記述はあるが、それを実際の土器や遺跡に具体的に当てはめての説得力ある説明がない。人間の認知の内容や美的指向を単純に解釈しすぎている。☆★2019/10/01
茶幸才斎
5
遺物から当時の人びとの内面のありようや文化構造を探る認知考古学と、その時代的変化に着目する進化考古学により書かれた面白い日本古代史。我々現代人にも息づく人間心理に基づく考察だけに、考え方としては自然しっくりと胸に収まる。本書の面白さは「なるほど」とすんなり得心がいく気持よさにある。しかし、美の認識のあり方とか、狩猟の採食様式が人の間に役割分担と序列を作ったとか、倭人アイデンディディの共有と連帯の欲求が古墳を巨大にしたとか、冷静にこれらを仮説と捉えて科学的証明を試みるのは、方法論的になかなか難しい気がする。2011/04/30
