出版社内容情報
この結婚は喜劇か悲劇か。夢見がちな男と秘密を抱える女は、全く異なる愛の形を育んでいた。オバマ前大統領も愛読の大河恋愛小説。
内容説明
裕福に育ったロットと美貌のマチルドは学生時代に電撃的に出会い、卒業直後に結婚。俳優として芽の出ない夫は、貞淑で献身的な妻に支えられ、やがて脚本家として成功。それは、幸せに満ちた人生のはずだった―妻のある秘密を知るまでは。夫の視点で綴られた美しき結婚生活は、後半の妻の視点になると一転。スキャンダラスで悲劇的な真相が明らかになっていく。家族の愛は夫婦の嘘に打ち勝てるのか?巧みなストーリー性と古典劇の文学性を併せ持ち、全米図書賞、全米批評家協会賞の候補となった圧巻の大河恋愛小説。
著者等紹介
グロフ,ローレン[グロフ,ローレン] [Groff,Lauren]
1978年ニューヨーク州生まれ。ウィスコンシン大学大学院で創作を学ぶ。「ニューヨーカー」などの雑誌に短篇を発表。『アメリカ短篇小説傑作集』に収録されて注目を集める
光野多惠子[ミツノタエコ]
1953年生まれ。津田塾大学卒業後、舞台制作の仕事などを経て1994年から翻訳家に。訳書にジャネット・S・アンダーソン『最後の宝』(産経児童出版文化賞推薦受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紅はこべ
106
大仰なタイトルだなと思ったが、ギリシア神話の女神のことだったのか。これは下地にオイディプス神話がある?マチルドがオイディプスの母?「誰かが誰かのものになるなんていう言い方はいや」というマチルドの言葉の真意は生涯ロットには伝わらなかったな。ロットが顰蹙を買ったシンポジウムでの女性についての発言、マチルドがどう受け止めたか、それを知りたかった。それにしても現代アメリカで結婚相手に処女性を求める男なんているのか。2018/02/14
キムチ27
46
全米批評家協会賞候補の言葉につられて読んだけど、好みじゃなかった。大河小説好きの私にはね。日本的それが好きなだけでアメリカという社会、人間観はどうしても納得、受容しかねるからかな。ヒーローはロット、ヒロインはマチルダ、圧倒されんばかりのドラマチックな展開はセックスに満ち満ち。若い二人が盛り上がっていく様はまるでハリウッド的。2部構成の前半はロットが主役。所々に入れ子の物語が挟み込まれ彼のナルシスとぶりが如何なく広がる~読み手の私はイライラ。一転する2部は空気感が反転。唯一その落差が人生の苦みを現し、面白い2017/12/28
ちょき
45
凄い作品だった。様々な、数え切れないほどの感情、感想に読者を導くことだろうし、文学史に残る作品かもしれない。読み手、特に性別によって全く違う捉え方がされる小説だろう。これから読む人にネタバラししたくないので感想が難しいのだが、陳腐な感想さえも不要だろう。ただ一つ言えることは私の中では記念碑的な位置付けの小説となったということだ。こういう夫婦っていいなと思った。かなりの長編でとにかく時間をかけて読んだ。だがその対価も受け取った。運命的な小説との出逢いに感謝したい。2018/03/16
星落秋風五丈原
35
夫婦なんて自分が見たいところしか見ないし、それでおさまってればいいのだけれどね。おかーさんが若夫婦に近づかなかったのはそういうわけがあったのか。2017/10/19
ヘラジカ
35
この本が絶賛される理由が分かり始めた最終盤に於いてすら、自分のなかで好きか嫌いかどちらかの区別はつきかねていた。しかし最後の最後数頁に全てを持って行かれた。なんて美しい小説だろう。"出来が良い小説"という以上に人々を魅了するのも納得だ。それまでは早く読み終えようとパラパラと捲っていたにも拘らず、ラストの一頁だけは何度も何度も読み返してその余韻に浸ってしまった。これから読む人に対してこれだけは言っておきたい。緩慢なストーリーラインやありきたりな舞台設定にうんざりして第一部で読み止めるのは勿体無いですよ。2017/10/03