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赤い月〈下〉

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  • サイズ B6判/ページ数 269p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784104451029
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

果華の絶頂から一転、奈落の底へ。頼りにしていた夫との再会も束の間、勇太郎は強制労働に取られ、病で命を落としてしまう。すべてを失い、夫の屍を乗り越え、食うや食わずで二人の子供を守る母・波子。そんなとき、密かに思いを寄せていた男・氷室の消息が聞こえてきた。再会に胸躍らせる波子だが、彼女の前に現れたのは、阿片に体を蝕まれた廃人同然の男だった…。母として子供を守るか、女として一人の男を愛するか?極限の選択が波子に迫る!家族、愛、究極の選択。自伝的大作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

83
【2021年色に繋がる本読書会】避難列車への空爆、中国人の反乱。女主人は、自分と一家を守るために、たとえ子どもたちの目の前であろうと、人道に外れたことでさえしなければならなかった。ようやく夫と再会しほっとしたのも束の間、夫は死に、また彼女の肩に全てがのしかかってくる。そんな重荷が負担だったのか、やがて、同じように引き上げていく特殊機関の工作員だった男性を愛するようになる。この氷室という工作員が阿片中毒になるのだが、必死でやめさせようとする主人公と氷室の絡みは、鬼気迫るものがあった。2021/01/14

あつひめ

49
波子の家族の環境の変化の凄まじさに読むのを休むことがでになかった。波子の中にある妻、母以外の女心の占める割合の多さにも驚いた。そのバイタリティーのみなもとはなんなのか。辛いはずなのに弱音をはかない波子。病に伏した中でも生きる。きっとたくさんの人ががむしゃらに生きた時代だったのかもしれない。戦争に振り回された運命。上巻と下巻であまりにも変化がありすぎて人の人生は計り知れないと思いながら読むのが止められない不思議な気持ちになった。2020/02/07

あやの

32
上巻でも感じていたが、波子の生命力と精神力に驚く。歴史に翻弄されながらも、どこまでも自分に正直。嫉妬や不倫も辞さないし、そんな中でも子どもたちを守って、絶対に生き延びるという気持ちを持ち続ける。同性に好かれるタイプではないと思うが、その意志の強さはある意味あっぱれだ。満州の歴史の悲劇の中に多くの人生があったことを忘れてはいけない。公平君がなかにしさん。ご自身の経験がかなり盛り込まれている。2017/12/17

メタボン

28
☆☆☆☆☆ 大杉の波子に対する愛、エレナと氷室の愛憎、波子の氷室に対する歪んだ愛。下巻は「愛」がゆえに人生が翻弄されてしまう人間像を過酷な戦争を背景に描いている。阿片地獄から氷室を救おうとする波子の生き様には強く惹かれた。巻末の参考資料も膨大な量であり、なかにし礼のこの作品を書き上げるにあたる並々ならぬ熱意を感じた。力作だった。2021/08/16

ちょん

26
下巻に入り、波子の女としての生き方が柱になっていく。満州という独特の土地で華やかに生きていく波子。そして終戦により悲惨な生活を強いられていく波子。そんな中でも絶えず愛する人を心の支えにして生きていく。時に理解出来ない行動もするが、それも波子なんだろう。2015/06/07

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