出版社内容情報
お手つきにならずとも、栄達の道あり。御祐筆、呉服の間、表使、「大奥三千人」を支える女達。それぞれの務めと苦楽を描く連作短編。お手つきにならずとも、栄達の道あり――。知られざる大奥の女たちを描く、江戸のお仕事小説！ 己を磨きたて、美しく着飾り、上様の目にとまって寵愛を受け、子を授かる――。それこそが本望とされてきた大奥。だが、三千人を有するとも言われた大所帯には、文書係、衣装係、日用品の差配役など様々な職種があり、仕事に生きた女たちがいた。大奥に?就職?した女たちの葛藤と情熱、苦楽を描く連作時代短編集。
永井 紗耶子［ナガイ サヤコ］
著・文・その他
内容説明
女の道は、つとめをきわめることなり―。己を磨きたて、美しく着飾り、上様の目にとまって寵愛を受け、子を授かる―。それこそが本望とされてきた大奥。だが、「汚れたかた」と呼ばれたお手つきとは対照的に、色恋はそっちのけで、仕事に生きた「お清」がいた。着物の善し悪しもわからぬまま、衣装係を命じられた女。苦にしていた巨体を役立てる職を見つけた女。文書係から代表役へと、出世街道を目指す女。大奥に“就職”した女たちの情熱と苦楽を描く連作時代短編集。
著者等紹介
永井紗耶子［ナガイサヤコ］
１９７７年神奈川県生まれ。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。２０１０年、「絡繰り心中」で第十一回小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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のぶ
94
徳川11代将軍、家斉の時代における大奥を舞台にしたお仕事小説。６人の女性に光を当てた連作集だが、登場する女性はいずれも才覚のある女性で、描かれている所作を読んでいると、それぞれ自分のテリトリーに秀でていないと、大奥内での出世は厳しい事が良く分かる。出世争いも本書の所々で出てくるが、普段イメージする陰険さはほとんどなく、爽やかな印象が残った。全体を読み通してみると、当時の大奥という役割や組織が何となく分かってくるような印象を受けた。短いながら、時代小説として良く出来た作品だった。2018/10/07
fukumasagami
81
徳川家斉時代の江戸城大奥に仕える女性たちを描いた6つの短編が納められている。側室となるべく凌ぎを削る女たちだけではなく、正室、側室を支える組織の中で活躍する女性たちが描かれている。記録係、衣装係に家政婦、料理番など、それぞれの仕事の中に価値を見出して、研鑽する姿。大奥と聞くと絢爛さの陰で暗く陰湿な女社会というイメージをしてしまっていたが、日々の生活中で辛く苦しいことにも乗り越えていく明るく前向きな仕事場だった。それはいつの時代もどこに居ても同じ。2021/05/23
真理そら
73
大奥モノだけれど、テキパキしたお仕事小説の連作短編集。『ねこめでる女』はもちろん良かったけれど、御狂言師・美津江が普通の妻と狂言師の立場で悩む『ちょぼくれの女』もいい、美しい人にも、そうでない人にも悩みはあるけれど、まず自分がどうしたいのかがはっきりしなくてはね。6編すべて面白かったので、ぜひ続編をお願したい。2019/03/06
なゆ
72
ドラマで見る大奥はなんだか伏魔殿のようだけど、この本で語られる大奥は女ばかりがひしめき合う職場の光景。上様に見初められ側室になるのではなく“お清”として仕事に励めば、大奥の女の出世は己の才覚次第なのだとか。御末、御次、呉服の間、御三の間、祐筆、表使などなど分かるような分からぬような奥の役割。華やかな大奥の裏の様子を覗くようで面白い。女たちだけでなく、お猫様もちょろちょろと。『つはものの女』の章が好き。負けるが勝ちの女ぶりかー。また『大奥』観たくなった。主役より、その周りや画面の端の女たちばかり見そう。2022/11/18
ぶんこ
70
とても気持ちの良い読書となりました。大奥には様々な事情を抱えた女性たちがおり、上様のお手つきとなって出世するもよし、そうはならずに己れの才能と才覚で出世するもあり。上様の思し召しを断り、祐筆としていきいきと働くお藤様が素敵でした。そして「お手つき」を願って明るく！努力する夕顔さん。後々お正さんが素晴らしい。踊りのお師匠さんへの「相手の思いは良い方に受け取る。悪くは受け取らない事が幸せ」の言葉が心に染みました。2019/10/17
