出版社内容情報
老財界人が語る、不倫あり、嫉妬あり、裏切りありの世界的弦楽四重奏団の三十年。それでも音楽は、人生は、こんなにも美しい! 著者待望の最新長篇。
内容説明
元経団連会長にして旧財閥系企業の名誉顧問である梶井は、80年代初め、NYで不遇をかこっていたころ、ジュリアード音楽院に通う日本人学生たちと知りあう。そして彼らが結成した弦楽四重奏団に「ブルー・フジ・クワルテット」と命名。やがて世界有数のカルテットに成長した四人のあいだにはさまざまなもめごとが起こりはじめるが、その俗な営み、人間の哀れさを糧にするかのように、奏でられる音楽はいよいよ美しく、いよいよ深みを増してゆく―。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
James Hayashi
27
著者の最後の長編となった作品。弦楽四重奏団カルテットを組む4人と財界のトップの人間模様。職人の世界であるがプライベートな事項も彼らの間に持ち込まれ現代的な雰囲気はあるのだが、旧仮名使いであり音楽隊であり財界のトップと馴染みのない世界は異色。しかし恋愛、嫉妬、裏切りなど普通の人間であることもわかり親近感も湧く。解説と著者へのインタビューが読む上でかなり参考になった。2016/11/12
松本直哉
24
からみあふ四つの声部を蔓にたとへれば、織りなされるハーモニーは咲きにほふ薔薇といへやうか。しかしそこには傷つく棘もかくれてゐて、たがひの嫉妬と裏切りと諍ひゆゑに血を流すこともある。弦楽四重奏の四人のメンバーの協和と不協和をめぐつて、彼らのパトロンの財界人により語られる秘密の打ち明け話は高尚な音楽論から下世話なゴシツプ(不倫、駆け落ち)までおよび、西欧近代音楽の最も凝縮された純粋な様式と、それを演奏する人々のなまなましい人間関係がなひまぜになる。卑俗をきはめた日常があつてこそ薔薇は美しく咲くのかもしれない。2021/11/30
ひとひら
17
★★★★★ 薔薇の花束を4人で持つのは大変むずかしい。国際的に有名なカルテットと、その友人 梶井。そのエピソードを書籍化の為に聞く古くからの友人野原。淡々と進んでいく中で、言葉選びが面白い。 『持ち重り』という言葉もいい。本当に。段々と苦しくなっていく関係性は夫婦関係にも似ているのかも。装幀が素晴らしい。裏表紙のロゴも和田誠氏作成かしら。素敵。で、ほんとは★★★だけど★★プラス。2017/10/08
ジャンズ
13
初めての作家。「弦楽四重奏団の人間関係が描かれている」と知って手に取った。様々なドラマがある。演奏の解釈の違いや私生活での愛憎を聴衆に気づかれずに舞台に上がる。NYで活動する四重奏団と経団連の元会長がNY在住中に4人と知り合い、その内幕を日本の雑誌の編集者に語る。「人間関係の面倒臭さという俗悪極まるものと芸術という魔法みたいな天使的なものが衝突して効果をあげているのかもしれない」これが「持ち重りする薔薇」の意味かな?2025/05/02
gelatin
11
★★★(★) 丸谷才一はやつぱり読ませるなと思ひつつ、内容は限りなく俗。内容でぢゃなくて文章の巧みさで読ませるんでせふね。音楽につひては魂の問題といふよりは博識の域ですが、人間の臭みを面白く書くことに関してはさすが。ラスト、終焉に近ひ者のしみじみと、しかしあつさりとした人生への感慨は良かつた。洒落た装幀とタイトルのうまさで★ひとつ足しましたよ。2015/04/29




