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巴里茫々

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  • サイズ B6判/ページ数 134p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784103062370
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報

『どくとるマンボウ航海記』のパリ、『白きたおやかな峰』のカラコルムを舞台に、著者が謳歌した人生が現われては消える。単行本初収録の珠玉の短篇。

内容説明

『どくとるマンボウ航海記』時代のパリを舞台に、濃霧の中に漂う記憶の幻影を描く「巴里茫々」。山岳小説の傑作『白きたおやかな峰』で描かれた地を再訪し、当時の優しい案内人を捜し当てる旅のドラマ「カラコルムふたたび」。哀歓に満ちた二つの小説(単行本未収録)を収める。

著者等紹介

北杜夫[キタモリオ]
1927(昭和2)年5月東京生れ。’60年、半年間の船医体験をもとに『どくとるマンボウ航海記』を刊行。同年、『夜と霧の隅で』で芥川賞を受賞。その後『楡家の人びと』(’64)で毎日出版文化賞、’86年に『輝ける碧き空の下で』で日本文学大賞、’96年芸術院会員。’98年には『青年茂吉』を始めとする斎藤茂吉評伝四部作により大佛次郎賞を受賞。ユーモア溢れるエッセイでも活躍した。2011年10月24日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

360
北杜夫の晩年に書かれたエッセイが2篇。分量はほぼ均等。前半の「巴里茫々」は、最初と最後を夢に囲まれた巴里の回想記。辻邦夫とパリの思い出が喪失の甘美さと共に語られる。辻邦夫は著者にとっては松本高校以来の文学の先達であったようだ。辻との邂逅がなければ、その後の北の行方は変わっていただろう。とりわけ辻を介したトーマス・マンはそうだっただろう。後半の「カラコルムふたたび」は、かつて北も参加したディラン峰に挑んだ京大隊の後を訪ねた回想記。ハイ・ポーターを勤めたメルバーンとの再会も、時間の彼方にうつろうばかり。2020/01/30

hiro

47
刊行が待たれていた詩情溢れる北さん最後の小説集というので、図書館で予約した。実際読んでみると、辻邦生・佐保子ご夫妻やお母さん斎藤輝子さんも実名で登場するなど、2作品とも小説というより、エッセイという感じがした。表題の『巴里茫々』では、『どくとるマンボウ航海記』でもでてきた辻ご夫妻と過ごしたパリでの思い出も書かれており、一方『カラコルムふたたび』では、北さんが登山隊のドクターとして参加した経験を小説にした『白きたおやかな峰』で描かれたカラコルムを再訪する話で、ともに北ファンにはこたえられない“小説”だった。2012/04/07

Gotoran

36
北杜夫、晩年に著された2編の作品。『どくとるマンボウ航海記』刊行の1960年代の、現代では見られない煤で汚れた暗い雰囲気の巴里で再会した親友の辻邦生夫妻に案内された思い出を綴った表題の『巴里茫々』と山岳小説『白きたおやかな峰』で描かれた地を訪れ、当時食事と雑務の世話になったメルバーンに再び会いに行く、躁鬱病に悩まされながらも人生・文学への思いが読み取れる「カラコルムふたたび」。哀歓に溢れた2編の作品を愉しんだ。2024/01/17

めがねまる

22
「巴里茫々」と「カラコルムふたたび」の2編。「白きたおやかな峰」は未読で「どくとるマンボウ航海記」が好きな私には、表題作の「巴里茫々」が良かった。今はない、煤で汚れた"黒いパリ"が、作者の感傷を透して目に浮かぶようだった。2017/09/18

ミーコ

20
北杜夫さん、初読みでした。ちょっと話に入りきれませんでした。2021/11/18

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