内容説明
いつも部屋の窓格子のむこうを通る青年に恋しながら、他の男に身をゆだねてみごもり投身する女。男たちに暴行を受けた心の傷を癒せぬまま、自分を慕う弟に体を許してしまう姉。新しい女がよりそう恋人の前で舞いながら、簪で自分の目を突き刺す女…。女たちの胸の奥底深くひそむ闇、業と不幸を四季に咲く花々の悲しい運命に託して描いた十四の物語。なかにし礼、幻の処女小説。
著者等紹介
なかにし礼[ナカニシレイ]
1938(昭和13)年、中国黒龍江省牡丹江市生れ。立教大学文学部仏文科卒業。シャンソンの訳詩家を経て、作詞家に。「石狩挽歌」「時には娼婦のように」他多くのヒット曲を生み「天使の誘惑」「今日でお別れ」「北酒場」で日本レコード大賞を3回受賞。他にも同作詩賞2回、ゴールデンアロー賞、日本作詩大賞など受賞歴多数。クラシック界にも活動の場を広げ、オペラ「ワカヒメ」「静と義経」、オラトリオ「ヤマトタケル」、世界劇「眠り王」「源氏物語」などの作品がある。’98(平成10)年、『兄弟』を発表して小説家に。2000年、『長崎ぶらぶら節』で直木賞を受賞
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