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新潮文庫
翳りゆく時間(とき)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 219p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784101019239
  • NDC分類 913.68
  • Cコード C0193

内容説明

未来のない愛に苦しむ女は夜明けに浄化される。過去を精算するために、男は異国へ旅立つ。姉の夫に恋する女はパラダイスを夢見る。迷いを隠して、青年は旧友との再会に臨む。伝説のマダムは秘密を抱いて孤独に逝く―。秘めていた想いが高まって溢れ、やがてほの暗いメランコリーに昇華してゆくまでを、小説の名手七人が鮮やかに描く。甘苦い味わい、大人のための傑作アンソロジー。

著者等紹介

浅田次郎[アサダジロウ]
1951年東京生れ。’97年『鉄道員』で直木賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゴンゾウ@新潮部

114
浅田次郎さん選の短編アンソロジー。氏曰く五感を駆使して味わうことができる作品。小説も嗜好品のように生活必需品では決してないが触れることで人生を何倍も豊かにしてくれる。無類の小説の読者家である浅田さんが選んだ大人の作品達。2016/11/06

いこ

92
人生のある地点で迷い戸惑う男女を、錚々たる作家陣が描いた短編7編。十年同棲している無職男を嫌いになれない女。なぜ会いたいのかわからないような男を探して外国まで行く男。「夫婦って何なの」と思いながら11年も過ごしてきた女等どれも読み応えがあるが、特に好きなのは、浅田次郎『マダムの咽仏』と山田詠美『天国の右の手』。「伝説のマダム(男)」の訃報を受け、それぞれの生き方を見直す男たち。「彼が私を愛し始めた時、私には既に右手がなかった」の一文から始まる、エイミーの愛すべき一編。ラスト1行に必ず泣かされるであろう。2023/11/04

かんらんしゃ🎡

56
★三島の『煙草』は、初めて吸った少年の意識の変化を微細に描いている。見上げていたものが対等に、恐れていたものが平穏に、まるで世界が変わったように青年の意識に変革していった。★ある日ある時を境に大人になったと感じた時ってこんなにみずみずしかったんだろうか。もう遠い昔のことだ。2017/11/01

みつりんご

21
濃いめの珈琲の様であり、強い洋酒の香りを楽しむ様でもある大人のアンソロジー。浅田次郎氏選。テレビやラジオで触れる企業の1分ほどのイメージCMの様だ。短くとも惹き付けられてドラマになっている。死期が迫り人間の孤独を知り、明日だけ見つめて生きる事は難しく、一人の人を愛し続ける難しさを知る、大人は厄介だ。その中でも三島由紀夫の一篇は大人手前の青春の揺らぎが綴られる。静かな朝の部屋で読み始めれば午前中には読み終われる一冊です。2014/11/24

masa@レビューお休み中

18
翳りゆくという言葉が日本人の心をくすぐるのだろうな。耽美的で、どこか魅惑的な響きがあり、そこには誰にも言えないような秘密が含まれている。それは、墓場まで持っていくほどの重大なものもあれば、他人からみると些末なものに見えてしまうものまでさまざまである。そんな翳りゆく時間を7人の作家がそれぞれ描き出している。浅田次郎の「マダムの咽仏」、山田詠美の「天国の右の手」が胸に沁みるお話で好きでしたね。翳りというのは言い換えれば、その人の魅力なのかもしれないですね。だから、人はそこに憧れるのだろうなぁ。2012/02/02

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