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出版社内容情報
発掘すべきか否か? 古代のタイムカプセル
古墳は、その大部分がのちに掘り返され、埋葬品の多くが持ち出されています。それを「盗掘」といいます。しかし、数年に一度、盗掘されていない古墳が見つかることがあります。それが「未盗掘古墳」です。
未盗掘古墳は、つくられた時の状況がそのまま保たれています。そのため、そこに葬られた人物や葬った人びと、一緒に葬られた品々、葬る方法や技術、そしてそれを生み出した社会などについての豊かな手がかり(情報)を、万全の形で入手することができます。
この本は、そのような未盗掘古墳の説明に始まり、著者が発掘に関わった滋賀県の雪野山古墳と岡山県の勝負砂古墳という二つの未盗掘古墳について、発掘の経緯や発掘によって分かったことを紹介します。そこから得られる情報量は、盗掘されている古墳と比べてはるかに膨大なのです。
このように古墳の発掘は、古代社会を知るのに可欠な営みですが、近年では「より技術が発達しているであろう未来の考古学に託すため」という名目から、古墳を発掘しない傾向が強まっています。それに対して著者は、「掘れない古墳」の代名詞である天皇陵古墳の問題も挙げて、古墳を発掘することの学問的・社会的意義を論じます。
【編集担当からのおすすめ情報】
著者の松木先生は、数年に一度しか発見されない未盗掘古墳をこれまでに二度も発掘しています。未盗掘古墳のことを誰よりも知る考古学者だからこそ書ける、「未盗掘古墳の魅力」が満載です。
【著者紹介】
考古学者。1961年愛媛県生まれ。岡山大学文学部教授。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻は日本考古学。ヒトの心の現象の科学的な分析・説明による、科学としての歴史の再構築をめざしている。その手段として、人工物や社会をつくったヒトの心に注目する「認知考古学」や、人工物の変化の理由を進化科学の成果にもとづいて科学的に考える「進化考古学」を、積極的に取り入れている。『全集日本の歴史』の第1巻として刊行された『列島創世記』で、2008年にサントリー学芸賞〈思想・歴史部門〉を受賞。
内容説明
誰にも触れられたことのない「未盗掘古墳」、誰も手を触れることを認められない「天皇陵古墳」。過去を正しく知るための存在。文字なき時代の「物」語り。
目次
第1章 未盗掘古墳とは何か(古墳を発掘するということ;未盗掘の条件;未盗掘古墳の発見史)
第2章 二つの未盗掘古墳(雪野山古墳の発掘;雪野山から勝負砂へ;勝負砂古墳の発見)
第3章 もし天皇陵古墳を発掘すれば(天皇陵とは何か;掘られた三つの大王墓;人類の遺産ついての天皇陵古墳)
第4章 なぜ古墳を発掘するか(はばむ論理、進める論理;未盗掘古墳を発掘するとしたら;天皇陵古墳を発掘するとしたら)
著者等紹介
松木武彦[マツギタケヒコ]
岡山大学文学部教授(日本考古学専攻)。1961年愛媛県生まれ。大阪大学大学院文学部研究科博士課程修了。これまでに、滋賀県の雪野山古墳・岡山県の勝負砂(しょうぶざこ)古墳という二つの未盗掘古墳の発掘を経験した。現在は、進化考古学の手法を取り入れた科学的な歴史学の再構築をめざしている。2007年に刊行した『全集日本の歴史1 列島創世記』(小学館)で、サントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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