出版社内容情報
新たな視点から我が国のたどってきた道を見とおす。
歴史の楽しさを続々発見できる全16巻。
【本全集の特徴】
●最新の研究成果を盛り込み、新視点から歴史を描く、日本通史の決定版。
●世代を超えて楽しめる記述。理解を深める写真やイラスト、図解も豊富。
●庶民の生活や文化にも注目し、現代社会につながる生きた歴史に迫ります。
●新しい日本の歴史の幕が開く。執筆陣は次代を担う歴史学者たち。
松木 武彦[マツギ タケヒコ]
著・文・その他
内容説明
四万年の歩みを一気に描く新しい列島史。
目次
第1章 森と草原の狩人―旧石器時代
第2章 海と森の一万年―縄文時代前半
第3章 西へ東へ―縄文時代後半
第4章 崇める人、戦う人―弥生時代前半
第5章 海を越えた交流―弥生時代後半
第6章 石と土の造形―古墳時代
著者等紹介
松木武彦[マツギタケヒコ]
岡山大学文学部准教授。1961年愛媛県生まれ。大阪大学大学院文学部研究科博士課程修了。専攻は日本考古学。ヒトの心の現象の科学的な分析・説明による、科学としての歴史の再構築をめざしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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トムトム
39
縄文人と弥生人。ホモ・サピエンスがネアンデルタール人を滅ぼしたと言われていたけれど、実は交雑しながらジワリジワリと減っていっただけ説がありますが。縄文人も文明が進んだ弥生人に滅ぼされたわけではなく、良い所取りでうまいことやって近代まで縄文文化は続いています。この本で文明の定義は武器や争いで支配階級ができること、と言い切ってます。確かにそうかも。欧米が世界中を野蛮な未開人扱いしたように、日本も琉球やアイヌを文明化されていないとして差別してたもんなぁ。日本の縄文遺跡が世界文化遺産に!うん、日本最高!2021/07/29
翔亀
34
<通史>を書くのは歴史家として目指すべき一大目標である、と誰が書いていたかは忘れたが、妙に記憶に残っている。○○時代という専門分野にとどまらず広く目を配らなければならないことはさることながら、時代を通じた明確な視角あるいは方法論、もっといえば歴史思想が必要となるからだ。最近のこの小学館版日本史全集(著名な旧中公版以来どれほど出版されたことだろう!)は特集主義を銘打ち興味深い巻が多いが、その第1巻である本書は、認知科学を武器に見通しの良い先史の<通史>となっている。■著者は文字のない先史においては、↓2020/04/13
白義
23
わー、ちゃんと科学してるのに読みやすいな!という感じ。環境考古学と物質文化の変遷というハードな話題から当時の社会のあり方まで豊かな筆致で書きつつも、豊かすぎないきちんと距離を引いたところ……つまり過度に古代を理想化したりしない慎重な姿勢もあり、旧石器時代から古墳時代までの四万年が一望できる。土器や石器の解説に読者を引き込むために「凝り」というキーワードを用いて、つまりデザインとか象徴的な側面に凝ることが社会と文化の事始めなんだよとわかりやすく語るところも巧みな文章でこのシリーズの方針と特徴をよく表している2020/09/18
月をみるもの
20
松木さんの専門である弥生・古墳は言うにおよばず、旧石器や縄文時代の最新成果レビューとしても素晴らしい。長期的な気候変動と人間の生産活動の関係、文字が入ってくる前の人間の認知能力、こうした新たな視点から描かれる(「日本」ではない)列島の歴史2022/09/28
bluemint
17
旧石器時代から古墳時代の4万年、文字を持たない時代の歴史。その間の動きをどうやって解明再現するか。分かりやすく読みやすい!埋設物、墳墓、モニュメント、住居跡など残された物と、気候の変動をベースにして人々の定着と拡散の様子。鉄器の入手を中心とした交易回路によるムラからクニへの変貌が目に見えるようだ。私自身にも、地球に最初の生命が発生した時から猿人時代を経過し石器時代から今の私に至るまでの歴史が刻み込まれており、一度も中断がなく連綿と続いてきたことがよく分かる。2021/01/28