• ポイントキャンペーン

Shogakukan mystery
ゼルプの裁き

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 358p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784093563314
  • NDC分類 943
  • Cコード C0097

出版社内容情報

環境破壊の進む’80年代の西ドイツで義兄の経営する化学工業会社のハッカー追跡を依頼された老私立探偵ゼルプは、調査するうちに義兄と自分の過去に関わる重大な事実を掴む。戦前ナチの政権下で検事だったゼルプが、自ら探り当てた恐るべき真相。『朗読者』の作者が知人と共作した長編ミステリ。

 戦前、ナチ政権下で検事だったゼルプは、1945年に総てのキャリアを失った。だが時の流れに伴う戦中戦後意識の風化に乗じたかつての同僚達のように、そしらぬ顔で再び元の法曹界へ戻ることを拒否して私立探偵を始める。亡き妻の兄コルテンは成功した大企業の経営者だが、彼の会社のコンピューターにハッカーが侵入したことから、犯人探しを依頼される。ハッカーの正体を暴いた彼は、事件の裏に彼とコルテンの過去に関わる重大な事実を発見するが……。現役の法学者であり、ベストセラー『朗読者』の著者が共作で放つ重厚な社会派ミステリ。『朗読者』はここから生まれた!

内容説明

環境破壊の進む八〇年代の西ドイツで、義兄の経営する化学工業会社のハッカー追跡を依頼された私立探偵ゼルプは、調査を進めるうちに義兄と自分の過去に関わる重大な事実をつかむ。戦前ナチの政権下で検事だった彼は、過去の罪の意識を頑なに持ち続け、自ら歴史の暗闇に入り込んでいくが…。『朗読者』の作家が知人と共作した初の長編ミステリ。

著者等紹介

シュリンク,ベルンハルト[シュリンク,ベルンハルト][Schlink,Bernhard]
1944年ドイツ西部のビーレフェルト市郊外で生まれ、ハイデルベルク、マンハイムで育つ。現在法律家としてベルリンとボンに住む。87年ヴァルター・ポップと『ゼルプの裁き』を発表。翌年発表した『ゴルディアスの結び目』で89年にグラウザー賞受賞。92年発表の『ゼルプの欺瞞』でドイツ・ミステリ大賞受賞。95年の『朗読者』は世界的なベストセラーとなり、ドイツ内外の文学賞などを総なめにした
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キムチ27

41
筆者のデビュー作とある。「帰郷者」「朗読者」から入ったせいかこの作品は筆者が法科大学教授と2足の草鞋で書き続ける意図の原点を見た思い。とはいえ、個人的には上述2作が好み。人間的な掘り下げと独逸国民が抱える贖罪の捻じれた流れが上手く描かれていたから。とはいえこの作品3部作とあるのでかなり興味を持つ。68歳の私立探偵がかつての友をくぐもる言葉と想いで対峙していく様は筆者の分身かと感じさせられ、ラストの場面と投げつける言葉、そして訪れる団欒の在り様は当事者でなければ得られぬ達観したニュアンス。やや硬い作風も好み2017/09/05

A.T

24
1987年、ベルリンの壁もソ連崩壊もEUも、勿論携帯電話もインターネットもまだ先の未来。80年代後半のゆるい感じは日本と同様。探偵業よりもアメリカのサブカルチャーに漬かった暮らしぶりがコミカルな68歳独身ヤモメの主人公のドタバタ劇だった。この少し先にヒット作「朗読者」が生まれてくる。2020/10/17

藤月はな(灯れ松明の火)

22
ナチスドイツ時代における罪と時が経ったからこそ求められた償いの意味を問うた「朗読者」が代表作となった作者のデビュー作。親友でもあり、義兄でもあるコルテンから企業機密を探っていたハッカーの捜索を依頼された私立探偵、ゼルプ。しかし、その調査中に工場爆発事故、突然の依頼の取り消し、更には殺人が起こる。元ナチスの検事だったゼルプですが最後の決断には唖然。その行動と最後での予感が実は外れてしまったこととあの男の皮肉った言葉が妙に心に引っ掛かってなりません。2013/06/09

桜子

5
元ナチ検事の私立探偵ゼルプは68歳。リウマチを患いながらも、悪漢を腕力でねじ伏せ、ロマンスもお手のものっ・・・ていくら何でも無理ありすぎだろ~! ナチ時代に犯した悪事に彼なりにケリをつけたつもりらしいが、欺瞞的で納得がいかない。ラジオからマドンナのマテリアル・ガールが流れ『フラッシュダンス』について言及される時代。ベルリンの壁はまだ崩れていない。西側の話だとしても、悲壮感や緊張感が足りず、都合よく老人力を駆使している。コルテンの「ゼルプ、君は気のいい奴」という皮肉がこの物語を集約している。罪は消えない。2012/04/16

いっこ

3
『朗読者』とはちょっと趣が違った。ナチス時代に検事だったゼルプの背負っている過去は重い。ゼルプが「裁き」として取った行為も、さらなる心の深い傷になるはずと思うが、続編があるということは、克服できたのか。2017/08/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/16081
  • ご注意事項