出版社内容情報
昭和三十四年。九年前に大学へ進学したはずの群青は、消息不明になっていた。
ありあけ石鹸は倒産の危機から身売りし、社長だった赤城はただの社員に。
親会社となった大手油脂会社からやってきた経営陣と、旧ありあけ石鹸時代からの社員たちの分断と反目に赤城が苦悩するなか、群青が姿を現した。
だがそれは、赤城を目の敵とする出向組のトップ黒田専務が連れてきた「技術顧問」としてで……。
戦後の混沌は終わり、高度経済成長期に突入した時代を駆け抜けた男たちの絆と希望の物語!
内容説明
昭和三十四年。大学へと進学したはずの群青は姿を消し、ありあけ石鹸は倒産の危機から身売りし、赤城は社長からいち社員になっていた。『炎の蜃気楼』『遺跡発掘師は笑わない』の桑原水菜が贈る、絆と希望の物語!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
40
倒産の危機からありあけ石鹸は身売りし、社長からただの社員になっていた赤城。親会社からやってきた経営陣とかつての社員たちの分断と反目に苦悩する中、彼らの前に群青が姿を現す第二弾。赤城を目の敵にする出向組の黒田専務が連れてきた技術顧問として再会を果たした群青。旧体制派が切り崩されたり、閑職に回される中、新しいやり方に会社の希望を見出す群青に対する複雑な想い、思ってもみなかった形でリョウとの再会もあって、ありあけ石鹸の今後を大きく左右するまさに激動の展開でしたけど、紆余曲折の末に訪れた結末は悪くなかったですね。2023/04/26
rosetta
36
★★★★☆読み友さんが激賞していたので手にした。ラノベや昔懐かしいコバルト文庫で結構有名な人らしいが自分は初読み。で内容は凄く良かった!こんなに面白い本なのに注目が足りない!という読み友さんの気持ちに同感。ただ惜しむらくは一作目を読んでいなかったこと😣彼らの過去の繋がりを知って読んだら更にどれ程感動したことか。戦後大陸から引き上げてきた群青や赤城らは石鹸会社を立ち上げる。大学に通い赤城らと別れた群青。また赤城らは会社経営に失敗し身売りをする。やっと出逢えた嘗ての仲間たちはもう一度信頼し合えるのだろうか?2023/07/01
糸巻
29
続編。前作は群青が大学へ進学する為ありあけ石鹸を辞めて家を出たところで終わった。今作ではその9年後を描いている。群青は赤城たちの前から姿を消し音信不通となり、ありあけ石鹸は倒産の危機に遭い身売りしていた…。えー…9年の間に何が起きたんだ。群青の成長ぶりを期待して読み始めたら出鼻をくじかれた。本社からの出向組による冷遇にも耐え、群青の為に ありあけ石鹸を守ろうとする赤城に勇気をもらう。令和の話だったらリアリティがないけど、この時代なら起きそうなドラマティックな展開が続きハラハラドキドキ面白かった。2024/05/26
うめきち
9
すごくよかった。もう絆が感じられてうるうるしてしまった。戦後の混乱期を助け合って生き抜いた人達の強さ、感動ものです。後半のたたみかけるような展開もいいですね。その後も知りたいです。桑原先生大好きです。2023/08/15
よこやま
3
荒野は群青に染まりて 暁闇編の続編。戦後右肩上がりの日本と石鹸会社が舞台。前作を断片的にしか覚えてなかったがやっぱりおもしろかった。紆余曲折を経て絆や信頼、信念といったものが形成されていくストーリーはもちろん、この作品にとても惹かれるのは、目指す人が側にいることが羨ましく自分にはないものがいっぱい詰まってて憧れちゃうんだろうなーと自己分析した。それにしてもなんで感想こんなに少ないのか、良い本なのに。2025/01/06