出版社内容情報
敗戦の焦土から立ち上がれ。混沌の時代を生き抜いた男たちの、反骨と絆の物語。
太平洋戦争に敗れ、大陸からの引揚船で、中学生の阪上群青は母とはぐれ、直後に何かが海に落下する音を聞いた。
その場に居合わせたのは、赤城壮一郎という男。さらに謎の男が現れ、「赤城が君の母親を突き落とした」と告げられる。
母の失踪に赤城が関係しているのか。疑惑がぬぐえないまま、行く当てのない群青は、赤城と共に焼野原を生きることに。
戦後の混乱期、上野の闇市で商売をするうちに、人々が衣食の次に必要なのは「清潔」だと気づき、二人は仲間たちと石鹸会社を立ち上げた。
ともに困難に立ち向かう日々の中、群青にとって赤城がかけがえのない存在となっていく。
だがそんな時、引揚船の男が再び現れ、衝撃の事実を群青に伝えた。
果たして二人の行きつく未来は……。
内容説明
大陸からの引揚船の上でただひとりの肉親である母が失踪した。身寄りをなくした少年・群青は謎の男・赤城とともに石鹸製造会社を立ち上げる。だが群青の心には、母の失踪に赤城が関与しているという疑念が渦巻いていた―。著者が新たに切り拓く渾身の一作!!混沌の時代を生き抜いた男たちの、反骨と絆の物語。太平洋戦争に敗れ、瓦礫から這い上がった少年は、その瞳にどんな未来を映すのか―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
b☆h
38
タイトルと表紙の色に惹かれて購入。戦後の貧しさの中で、知恵を絞り日々を紡ぐ赤城と群青。生きるための手段は夢となり、生きる糧になっていく…。積み重ねることの大切さ、脆さがよくわかり心に沁みた。初めて読んだ作家さんだけど、一気読みだった。〝生き様〟という言葉が浮かぶ物語だった。2024/06/11
糸巻
34
終戦後、大陸からの引揚船で出会った群青と赤城。船上から姿を消した群青の母について赤城は何を隠しているのか。戦後の焼け野原、知人もおらず何もないところからの始まりだったが、赤城に守られ兄弟のように絆を強くしていく2人。信頼できる仲間にも出会い石鹸作りの会社を立ち上げる。サクセスストーリーに留まらず、歴史の背景でこんなことあったかもしれないミステリを絡めており面白かった。終盤の駅の場面が好き。熱いものがこみ上げる。続編もあるので2人の再会が楽しみだ。2024/05/24
海の仙人
34
初読みの作家さん。敗戦後、群青は大陸京城からの引揚船で母とはぐれ、直後に何かが海に落下する音を聞く。居合わせた赤城は母の失踪に関わっているのか。疑念を抱きながら生きるために赤城と暮らす群青だが…。全ての過去が明らかになり、未来に踏み出す群青の前途を願わずにはいられない。続編が楽しみ。お薦めです。2022/04/02
よっち
32
太平洋戦争敗戦後、大陸からの引揚船で母とはぐれて、直後に何かが海に落下する音を聞いた中学生・阪上群青。その場に居合わせた赤城壮一郎と共に生きてゆく物語。謎の男に「赤城が君の母親を突き落とした」と告げられて、疑惑がぬぐえないまま行く当てもなく、赤城と共に焼野原を生きる群青。近江兄妹と出会った二人が石鹸会社を立ち上げて共に困難に立ち向かう中で育まれたかけがえのない絆があって、明らかになった衝撃の過去、見守ってくれた赤城への複雑な思いも抱きながら、自ら決めた道を進む群青のこれからをまた読んでみたいと思いました。2022/02/04
さとみん
11
最後の一文を読み終えた後「"暁闇編"ということは続きがあるんだよね!?」と興奮して誰かを問い詰めたくなった。話が中途半端なわけじゃない。さらに個人的にはこの終わり方はものすごく好きなんだけど、でも続きあるでしょ!!!と矛盾する思いを抱えてジタバタしている。まだあの子の夜明けが来ていないし、彼らの今後も気になって仕方ない。2022/05/04