出版社内容情報
東京の暮らしに疲れ、故郷の富山に帰ってきた脇田千春。父のいない子として生まれた親戚の中学生・佑樹と触れ合ううちに自分らしさを取り戻していく…。富山、京都、東京。三都市の家族の運命が交錯していく物語。
内容説明
東京の暮らしに疲れ、仕事を辞めて、故郷の富山に帰ってきた脇田千春。実家でふさぎ込んでいたが、親戚の中学生・夏目佑樹と触れ合ううち、自分らしさを取り戻していく。父のいない子として生まれた佑樹は、不思議な懐の深さを持つ青年へと成長していて―。富山・京都・東京、三都市の家族の運命が交錯する物語。
著者等紹介
宮本輝[ミヤモトテル]
1947年、兵庫県神戸市生まれ。広告代理店勤務を経て、執筆活動へ。1977年「泥の河」で太宰治賞を、翌年「螢川」で芥川賞を受賞。著作に『優駿』(吉川英治文学賞)『約束の冬』(芸術選奨文部科学大臣賞文学部門)『骸骨ビルの庭』(司馬遼太郎賞)など。2010年秋、紫綬褒章受章。1996年より、芥川賞選考委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
169
上下巻、約800P完読しました。新聞小説ならではの冗長感はありますが、ここ数年の宮本輝作品では上位に位置しています。見事なまでの善人の人間模様、黒子ではありますが、平岩元社長の存在感が特に際立ちました。表紙イラストもタイトルも中身も三位一体で素晴らしい。かがわまほ作「やさしいおうち」も出版していただけないでしょうか?富山には幼少の頃、一度行ったきりですが、北陸新幹線も開通したので、是非旅行を企画したいなぁ!愛本橋を渡り、宇奈月温泉に入り、星月夜を眺めながらホタルイカやカニで富山の地酒を飲めたら最高です。2015/04/29
相田うえお
141
★★★☆☆18014 上巻で蒔いたタネが下巻でどうなるのかと読んでいきましたが、話の裾野はどんどん大きく広がります。登場する人物も複雑に絡み合っていき非常にややこしくなってきます。途中から相関図を書きたくなってしまいました。結局、話の主となる流れとか解き明かされ方が、思い描いていたものとは若干違ってました。いやぁ〜、不倫で出来た子だからといって、年齢を理由にそれを本人に隠すのには異議ありです。先に本人が知ってしまった方が辛いと思うのです。こうなると誰にも相談出来ずに思い悩むかもしれないよ。2018/02/16
酔拳
112
富山に行ってみたい気持ちにさせられました。人の縁によってたくさんの人がつながっていきましたが、登場する人が皆、魅力的でした。印象的だったのは、千春が東京の会社勤めに疲れはてて、富山に帰ることになるのだが、千春がいなくなった後、東京の同僚たちが、千春がどんなに会社のムードを癒していたかきずいたシーン。あとひとつが、バーを営む日吉さんの奥さんに赤ちゃんができたけれども、出産前の検査で、ダウン症だとわかった時、悩みに悩んで、奥さんと産んで育てる事を決断したシーンが印象的でした。いい作品でした。2015/11/23
じいじ
111
登場人物(簡単な人物紹介が、富山の地図とともに添付されている)の人間関係が複雑?で、こんがらかってしまってストーリーが繋がらない。入院のベッドの上で読むには相応しくなかったようだ。大好きな宮本作品なので、体調を整えて読み直ししたいと思い、途中下車した。2018/03/05
あすなろ
109
田園から港まで突っ走る。そうすると、私はいつでもまっさらになる。そんな心情を黒部川扇状地に投写した宮本作品。正直、何がある作品ではない。語弊恐れずに僕は述べる。しかし、疲れた我々に、清冽さを持つ沢山の登場人物達が別世界に誘ってくれる。その別世界は、富山という地が象徴している。まっさらになれる…そんな田園風景を皆持とう、若しくは実際に行って心を浄化せよ。そんな取り止めない心情になれた作品。2015/07/27