出版社内容情報
戦国の世、信長の娘が選んだ「女いくさ」
信長の血をもっとも色濃く受け継いだ娘、冬。生まれながらに背負った運命に翻弄されながら、夫・蒲生氏郷への愛と父への崇敬を胸に自らが信じる道を歩んでいく。その数奇な半生を辿る歴史長編。
内容説明
信長の娘として生を受けながらも、母を知らず、孤独のうちに育った冬。父の命により蒲生氏郷のもとへ嫁ぎ、想いを交わしあう幸せな日々が訪れるが―お市、茶々、江、ガラシャ…姫たちの戦いに翻弄されながら、ひたむきに歩んだ女人がいた。今もっとも注目を集める時代小説の旗手が、命を吹き込む新たなヒロイン。
著者等紹介
葉室麟[ハムロリン]
1951年北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年『乾山晩愁』で歴史文学賞を受賞し、作家デビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
323
信長の娘、冬の凛洌な生涯 を描く。 信長が行った婚姻による 外交…叔母お市の方が あまりにも有名だが…逆に 歴史の陰で凛として生きた 冬姫だからこそ、著者は自由に 描けたのだろうか。 蒲生氏郷に嫁いだ冬姫の 視点は、従来の眼とは 異なり、興味深い。 それにしても、戦国の世に 生きた女性の人生は本当に 哀しい…お市の方、築山殿 、五徳、玉子、茶々…著者 の静逸な筆力が心に染みる…そんな本だった。 2015/05/24
kazu@十五夜読書会
99
信長の娘が選んだ「女いくさ」その数奇な半生を辿る歴史長編。信長の娘として生を受けながらも、母を知らず、孤独のうちに育った冬。父の命により蒲生氏郷のもとへ嫁ぎ、想いを交わしあう幸せな日々が訪れるが…お市、茶々、江、ガラシャ…姫たちの戦いに翻弄されながら、ひたむきに歩んだ女人がいた……。『武家の女は槍や刀ではなく心の刃を研いでいくさをせねばならないのです』幼い頃から乳母のいおから教えられ育った冬姫。信長・秀吉・家康、戦国時代を奥方・姫達の視点からみた歴史小説、わかりやすく、読みやすいお勧めします。2013/05/19
優希
96
面白かったです。織田信長の娘で蒲生家に嫁いだ冬姫の物語。冬姫の視点で描く戦国なので、女性ならではの時代を見ることができました。お市の方、帰蝶などの戦国時代を彩った人々も独特の視点で描いていて興味深かったです。同じ戦国時代でも武将や大名を軸にして描くのとはまた違う魅力がありますね。2018/01/09
文庫フリーク@灯れ松明の火
89
清廉な既読作品からの先入観でしょうか。おどろおどろしさは葉室麟さんにそぐわない気がしました。主人公・織田信長の娘にして蒲生氏郷の正室となった冬姫。戦国の世にあって、婚姻を政治的戦略の道具とされる女性たち。信長・秀吉・家康と三代に渡る女性の側から見た戦国の世、槍や刀を使わぬ女のいくさ。この時代の有名人物総ざらいにして、物語に紡いだ力量には素直に感嘆です。冬姫の物語は初ですが、信長の娘で氏郷の妻という存在自体が魅力的なので、この物語とは別に、けれん味無しの長編・葉室冬姫読んでみたいものです。2012/04/28
藤枝梅安
72
信長の次女で蒲生氏郷の正室・冬姫。生母は不明とされるが、作者は母親を特定し、さらに冬姫に従い彼女を守りぬいた忍びを登場させ、濃密な物語に仕上げてある。信長、家康、秀吉に明智光秀、伊達政宗、石田三成といった大物武将を登場させ、さらにお市の方の三人の娘も登場し、非常に大がかりな設定で楽しませてくれる。作者は淀の方と三成が氏郷を毒殺したという説をとり、非常にわかりやすいストーリーに組み上げている。ただし、話が整いすぎている気もする。一般の農民の苦しみなどを描いている点で私は岩井さんの「霧の城」の方が好きだなぁ。2012/02/26