出版社内容情報
イケメン俳優を追いかけるOLのりさ子。時間とお金を全てつぎ込んで応援していたが、ネットで彼との恋人関係を匂わせる女の出現で暴走しはじめ……。演劇業界の闇に切り込む愛憎劇。(解説/劇団雌猫)
松澤 くれは[マツザワクレハ]
著・文・その他
内容説明
26歳、彼氏なし。OLりさ子の趣味は舞台鑑賞で、若手イケメン俳優の翔太君を追いかける日々。2.5次元舞台『政権☆伝説』に通い詰め、高額プレゼントを贈る。「がんばってる姿を観られるだけで幸せ」とお金と時間をつぎ込み、彼からのちょっとした「特別扱い」にときめいていたが、ネットで彼に彼女疑惑が持ち上がり…。俳優とファン。演劇業界の闇に切り込む、見て見ぬふりをしたかった愛憎劇!
著者等紹介
松澤くれは[マツザワクレハ]
1986年富山県生まれ。早稲田大学第一文学部演劇映像専修卒業。演劇ユニット“火遊び”代表。舞台脚本家・演出家として、オリジナル作品をはじめ人気小説の舞台化を数多く手掛ける。『りさ子のガチ恋 俳優沼』が小説家デビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aya Murakami
85
フユイチ2018年の集大成対象本。 沼というワードはツイッターで耳にしましたが、ガチ恋は初耳です。俳優や女優が結婚したら怒り狂うアレですね。 りさ子は「自分では無から有を生み出す才能はない」と自覚しつつ無機質な職場生活を送りつつオタク生活をエンジョイしているようです。そして彼女が愛する俳優も「自分が売れているのは顔やキャラクター性であって演技力等中身ではない」と自覚していて…。 自分もオタクっ気があるのでりさ子がいつの間にか危険な狂信者になっていく姿に恐怖を感じました…。2019/01/03
ami*15
49
「推し」のためならどんなことでもしたい。仕事よりも俳優の翔太君のことで毎日頭の中が一杯なりさ子。彼女の翔太君に対する行動力は「凄い」どころではなく「ヤバくて怖い」。ファンから見た「芸能人」と芸能人から見た「ファン」、それぞれの姿がバランス良く描かれていて、芸能界に蔓延る光と闇や予想以上に燃えていた推しへの愛を沢山覗き見しました。ファンにとって推しは神様のような存在。だけど普通に恋愛をする姿や人間の好き嫌いがある姿を見ているとどんなに素敵な芸能人だってやっぱり1人の人間なんだなぁ…と思いました。2019/03/27
Zann
46
★★★★☆キャッチーなタイトル、ポップな装丁に騙される事なかれ。これはホラーだ。2.5次元俳優(イメージ的には地下アイドルの様な存在か?)という、近いような遠いような存在にズブズブとのめり込んだ果ての地獄。読み手の私自身はハマりやすく飽きやすい体質のため、主人公の様にガッツリハマれる人を微笑ましく羨ましく読んでいた。『好き』を『愛(金)で推す』というのにもちょっと憧れる。いや、しかし、これはいかーん!!怖い怖い!!一生懸命ってのも振り幅間違えると恐怖だなぁ。共感はできなかったが面白く読めた。(9)2022/01/22
kei302
44
ネット炎上、暴走するファンの恐ろしさ。そして、誰も、炎上の後片付けはしない。ゴミだけがずっと残る。遅れてやってきた人たちは、その散らかったゴミだけを見て一方的に嫌悪する。炎上ってのは燃え殻になった後の方が地獄。飽きられてからも地獄は続く。りさ子は確かに、妄想が暴走しているが、現実に存在するのだ。怖い。2020/03/17
ゆなほし
40
26歳彼氏なし・OLりさ子が応援している2.5次元舞台俳優の翔太君に、ネット上で彼女疑惑が持ち上がり…。初めはただ客席から姿を見られるだけで良い。プレゼントを渡すだけで良い。そこから次第に芽生える承認欲求と、推すだけでは足りない溢れる愛のもたらす結末は、背筋も凍る愛憎劇。出待ちに全通、カラオケ観劇会、愚痴垢…あまりにもリアルな界隈描写に、ノンフィクションとは思えずスリリングな展開と相まって一気読み。「愛で人を推す」事に付きまとう俳優とファン双方の責任を、鮮烈な視点で掘り下げる傑作沼小説。2020/11/19