出版社内容情報
妊娠・出産したいか、したくないか。いつ産むか、何人産むか──。そのほか、中絶、避妊、月経、更年期に伴う心身の負担など、生殖関連の出来事全般に関し、当事者がどのような選択をしても不利益なく生きることのできる権利を「リプロの権利」という。1990年代、女性にとって特に重要な権利として国際的に定義・周知されたこの人権について、日本でほぼ知られていないのはなぜなのか。中絶問題研究の第一人者が国内外での議論の軌跡をたどり解説する。少子化対策と称し「出産すること」への圧力が強まる今、必読の書。
【目次】
はじめに~日本社会から欠落している「リプロの権利」の視点
序章 リプロの権利は「人権」のひとつ
第一章 リプロの権利はいかにして生まれたか
第二章 人口政策に翻弄された日本の中絶・避妊
第三章 二〇〇〇年代、日本政府の「リプロ潰し」
第四章 世界はどのように変えてきたのか
終章 日本の今後に向けて
おわりに
【著者略歴】
塚原久美(つかはら くみ)
中絶問題研究家。1961年生まれ。国際基督教大学卒業。翻訳者・ライターを経て、自身の妊娠・出産を機に中絶問題研究を始める。2009年、金沢大学大学院社会環境科学研究科で博士号(学術)取得。公認心理師資格を得て、中絶ケアカウンセラーも務める。著書に『中絶技術とリプロダクティヴ・ライツ』(勁草書房)、『日本の中絶』(ちくま新書)、共訳書に『新版 中絶と避妊の政治学』(岩波書店)など。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
manabukimoto
2
二十年以上前に大学で生命倫理学を修めていた時から「Reproductive Health/Rights」は語られ、この国の後進性やもっとひどいアメリカの保守の露骨な男性中心思考が問題にされてきた。読み終えて状況の変わらなさに唖然とする。 フランスは2024年、憲法に「中絶の自由」を明記。カイロ会議からナイロビ会議へ世界の多くの国が「産む/産まないは女性が決める」方向に進んでいるのにも関わらず取り残されている現状。 女系天皇もダメ、ジェンダーギャップも根強い。 女性の身体の主体は女性。当たり前だと思う。2025/09/22