出版社内容情報
「消えた反物質の謎」のカギを握る小林・益川理論。
ノーベル賞をもたらした研究者たちが、実験の最前線と未解決の謎を解説する。
内容説明
宇宙が星や銀河、われわれ人間などの「物質」でできているのは、最初期にほんの少しだけ「反物質」より「物質」のほうが多かったからである。もし物質と反物質の量が同じだったら、両者は対消滅してしまい、宇宙はからっぽの空間になっただろう…。問題のカギを握るCP対称性の破れの物理モデルを提唱した小林・益川理論の正しさを実験的に示し、この理論にノーベル物理学賞をもたらしたのが、本書の主役であるKEK(高エネルギー加速器研究機構)だ。各時代を支えた研究者たちが、驚きに満ちた実験の最前線と未解決の謎を解説する。
目次
はじめに(小林誠)
第1章 素粒子の標準模型とCP対称性の破れ(小林誠)
第2章 加速器実験の歴史(菊谷英司)
第3章 小林・益川理論を検証せよ~PART1(山内正則)
第4章 小林・益川理論を検証せよ~PART2(生出勝宣)
第5章 ニュートリノとCP対称性の破れ(市川温子)
第6章 「新しい物理」と加速器科学の未来(岡田安弘)
おわりに(小林誠)
著者等紹介
小林誠[コバヤシマコト]
高エネルギー加速器研究機構特別栄養教授。「CP対称性の破れの起源の発見」によりノーベル物理学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬樹
3
思ったより、加速器についての話が多めだったけど、それでも興味深かった。主に素粒子と「CP対称性の破れ」に関する研究の歴史を振り返ったあと、日本のKEKの歩みを紹介する。研究におけるほかの研究所との競争がもたらす効果は、目からウロコだった。昨日の敵は今日の友みたいな?それから、東日本大震災が、こういった学問にも大きな影響を与えていたのも初耳だった。自分の窺管を少し反省。2022/04/25
y
2
タイトルの答えは本書では出ていませんが(というか世界的にも)、サブタイトルの内容が、充実していて面白かったです。 ヒッグス粒子が見つかって、何となく一件落着と思ってました。ごめんなさい…2022/01/23
河村祐介
1
タイトルよりもサブタイトルのか相当しい内容って感じですかね…2021/12/31
Papa-だって
1
半分も理解できないのだが。「科学的思考」といっても、ニュートン力学の水準の人と、量子力学の水準とでは、同じ現象について理解が異なる。自然(宇宙・生命など)への理解の程度に応じて、個人ごとに答えがある(同じものを見ているわけではない)。それなのに、他人も自分と同じものを見ていると考えるから、この世界に諍いが絶えないのだろう。私も量子物理学の科学者も、大統一理論(万物の理論)があるはずだと信じている点では同じだが、それを記述する言語が数学なのか、宗教なのかが異なる(どちらも人類による最高の発明品だが)。2021/11/28
Go Extreme
1
素粒子の標準模型とCP対称性の破れ:中性子の3つの相互作用 陽電子の発見 対消滅と対生成 CP対称性 クウォーク模型 3つの相互作用 サハロフ3条件 加速実験の歴史:4基のサイクロトロン シンクロトロン開発 K2K実験 トリスタン加速器 トップクウォーク フォトンファクトリー 小林・益川理論を検証せよ:非対称なエネルギー 科学の実験には競争が不可欠 アレス空洞 ニュートリノとCP対称性の破れ:ハイパーカミオカンデ 「新しい物理」と加速器科学の未来:ヒッグス粒子 磁気モーメント ダークマター 素粒子物理学2021/11/20
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