出版社内容情報
心機一転、高原への移住を果たした姜尚中は、「悩み」を突き抜け、今までとは全く異なる境地に至った。亡き母らの思い出に満たされた、穏やかな「幸せ暮らし」のエッセンスを、素直な気持ちで綴った一冊。
姜 尚中[カン サンジュン]
著・文・その他
内容説明
これまでの生活をリセットして東京近郊の高原へと移住した著者は、それをきっかけに、今までとは違った眼差しで世界や同時代を眺めるようになった。慣れない土いじりや野菜づくりに精を出していると、悲喜こもごもの思い出が、やさしい風や、やわらかな雨のように心を撫でていく。今は亡き、母、父、息子、叔父、先生、友だち。今なら言える。すべての愛すべき人たちの思い出こそが私の故郷であり、私の先生だったのだと―。「田舎暮らしエッセイ」という器に載せて、これまでになく素直な気持ちで来し方行く末を存分に綴った、姜尚中流の“林住記”。
目次
序章 「山」に棲もう
第1章 空を見上げれば、いつでも
第2章 人は、歩く食道である
第3章 花の色
第4章 我々は猫である
終章 故郷について
著者等紹介
姜尚中[カンサンジュン]
1950年生まれ。政治学者。東京大学名誉教授。著書は一〇〇万部超のベストセラー『悩む力』とその続編『続・悩む力』のほか多数。小説作品もある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てくてく
10
不思議な読後感の本。高原に移り住んだ著者が、母との関係、自分のルーツ、昨今の朝鮮半島人生について語ったと思えば、庭の手入れや飼うことになった猫にベタ惚れするようになる過程を綴ったりしている。まさに高原ホテルでうゆっくり楽しむような本だと思う。2018/10/23
templecity
6
朝鮮出身で旧日本軍人だった父と同じく半島から来た母の間に熊本で生まれた在日韓国人の著者。無学だが情のある母親に育てられた。父は朝鮮に戻り別な女性と結婚。それでも著者は早稲田を卒業し東大名誉教授にまでなっている。息子の死をきっかけに軽井沢に移住したが、そこで畑仕事もしているが在日の一次産業従事は珍しいとのこと。日本に居ながら朝鮮統一を望むが、一時の北朝鮮の暴発行為には心を痛めている。著者にとっては統一は悲願の様だ。2019/04/18
Carol
5
様々な悲しみと苦しみを抱えながらも、穏やかに幸せにあろうとする、そんな著者の姿が見えるようでした。読んでいて幸せな気持ちと心が苦しくなるような感覚が同時に起こりました。そして、日本と韓国、北朝鮮の間に起きた様々なことを知らない自分を反省。私たちが今、KPOPや韓流ドラマを楽しめているのが何故なのか、ここに至るまでにどれだけの人が辛い想いをし、努力してきたのかもっと知らなきゃいけないと思いました。2019/04/29
安東奈津
3
★★☆ やさしい気持ちになれる。 飯館村・菫 涙 「菫程な小さき人に生まれたし」2019/07/16
Gaudi
3
人は皆、生まれたときの環境がその後の人生に影を落とすもの。あたかも業のように、どうにもならないものを抱えながら生きていくのでしょう。 哀しくも生きるためには食べるのです。食べて、生き抜いていくしかないのです。2019/02/15