出版社内容情報
12世紀末に画かれた『吉備大臣入唐絵巻』に注目し、歴史学の立場ではなく、後世に神話化された遣唐使〈像〉を文学研究の側面から考察。近年の東アジア情勢を捉え直すうえでの複眼的な視点を提供する。
小峯 和明[コミネカズアキ]
著・文・その他
内容説明
“本と日本史”は「本」のあり方から各時代の文化や社会の姿を捉え、当時の世界観・価値観の実態を考察する歴史シリーズ。第二巻の本書が扱うテーマは「遣唐使」である。だが実証的な遣唐使ではない。一二世紀末から一三世紀初頭にかけて制作された『吉備大臣入唐絵巻』を中心に、一九世紀にまで連なる後代に仮構された遣唐使“像”を検討する。大国への対抗意識や異国・異境への尽きぬ思いが託された幻想の中の遣唐使は、日本の劣等感と優越感がないまぜになった東アジア文化交流の象徴でもあった。そして今なお、時代を超えた国際関係のあり方を探る拠り所として、複眼的な視点を提供し続けるのである。
目次
第1章 吉備真備―人物と文物(遣唐使の群像;吉備真備―人物と文物 ほか)
第2章 『江談抄』を読み解く―絵巻への道(大江匡房の談話から;談話の場の復元 ほか)
第3章 『吉備大臣入唐絵巻』の形成と世界(実兼・信西の“江談”から後白河院の絵巻へ;『吉備大臣入唐絵巻』の成立と流伝 ほか)
第4章 遣唐使の神話と伝説(王朝物語と遣唐使;中世の説話から ほか)
終章 東アジアの回路へ(新羅の崔致遠;異文化交流の絵巻 ほか)
著者等紹介
小峯和明[コミネカズアキ]
立教大学・名誉教授。中国人民大学・高端外国専家。文学博士。専門は、日本中世文学・東アジア比較説話。1947年、静岡県生まれ。1977年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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