出版社内容情報
資本主義の終焉で、世界経済の常識が大逆転。成長を追求すれば企業は打撃を受け、国家は秩序を失うのだ。生き残るのは「閉じた経済圏」を確立した帝国だけ。歴史の大転換期に日本の行くべき道を描く!
水野 和夫[ミズノカズオ]
内容説明
資本主義の終焉によって、世界経済の「常識」が逆転した。経済成長を追求すると、企業は巨大な損失を被り、国家は秩序を失う時代になったのだ。生き残るのは、「閉じた経済圏」を確立した「帝国」だけである。「長い21世紀」という五百年ぶりの大転換期に始まる、新しい「帝国」システム。そのもとで、米英・欧州・中露の経済はどう変わるのか? 日本を救い出す方策とは何か?ベストセラー『資本主義の終焉と歴史の危機』で高い評価を受けたエコノミストが描く、瞠目の近未来図!
1 ~ 3件/全3件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
60
『資本主義の終焉と歴史の危機』に次ぐ、水野さんの2冊目。人口の減少化とともに市場が有限のゼロ金利時代に入った日本。国内の需要量の増加が見込めなくなっているにもかかわらず、人口=労働力と捉えて供給力の減少を阻止するための「一億総活躍社会」と「働き方改革」を叫ぶ政府。ヒト、モノ、カネの国境を越える自由な移動のグローバリゼーションは、「周辺」が「中心」に入ってくれば維持できずに崩壊していく。これが20世紀末以降に新興国の難民、移民となって現れた。ポスト近代システムは、一定の経済圏で自給体制をつくり、その外に富2018/02/28
ジョンノレン
54
広範なスパンで世界史、取り分け経済とそれに影響を深く及ぼして来た国家や政治体制や中核となる概念や枠組みの数々を繰り出して過去と現在と今後の趨勢について大胆に語る。繰り出される材料も多彩でケインズは勿論のことミヒャエル・エンデにも及ぶ。それにしても'85年に亡くなった国際政治学者ヘドリー・ブルの先見性は凄い。本書の取り敢えずの結論、流れは中世的な閉じられた地域帝国と地方政府の二層構造になる。日本への提言も我が意を得たりで秀逸。繰り返し読みたいし参考箇所チェックのため購入。著者最新「次なる100年」も楽しみ。2023/01/31
おさむ
37
エコノミストだった水野さんは、今ではすっかり世界経済の歴史家になってしまいました。(大学教授ですしね)。本著も、古今東西の経済史を紐解き、ゼロ金利に突入した現在の21世紀は「資本主義の終焉である」とする定番の自説を展開しています。これからの世界は閉じた帝国が分立し、いくつかの定常経済圏が成立するという見立て。日本が生き残るには、財政均衡、エネルギー自給率向上、地方分権の3つのハードルを乗り越える必要があると説く。やや論理立てが難解で、無理やりつないだ感が否めないなあ。2017/06/10
skunk_c
36
『資本主義の終焉と歴史の危機』の続編で、資本主義の本質を飽くなき蒐集として、空間的広がりが限界に来た21世紀には終焉を迎えるとした。これは前著の「周辺の逆襲」の異なる表現だと思う。ゼロ金利を「成長なき定常社会」と肯定的に評価、膨張思考の海の帝国からEUが目指す閉じた陸の帝国と地方政府の組み合わせが資本主義の次に来る「新中世」とする。「定常社会」は魅力的だが完全雇用の問題に触れていない気になった。経済学だけでなく、歴史学、社会学などの成果を取り込んだ見立ては正否はともかく魅力的だ。正解はすぐには不明だけど。2017/06/21
slider129
29
資本主義が蒐集や搾取を目的とする限り、開拓すべきフロンティアがなくなれば、自ずと幕引きをせざるを得ない。”正解”に近いと思い込んでいた資本主義にも限界が来たことを思い知らされ、時代や環境によって正解は移り変わる。社会主義の破綻を目の当たりにした後の資本主義の限界に、世界は時を同じくするかのように”閉じていく”選択を取り出したように思える。ゼロ金利の異常さを説明するに当って、もはや投資をした所で資本を増やせない状態に陥ったという指摘は見事。いかに人類が歩みを止める事が出来るかという難問に問われているようだ。2017/07/31
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