出版社内容情報
歴史は25年、150年、500年単位で変化する。これを「物差し」とすれば、トランプ大統領以後の不安定な世界も予見可能。今後100年の政治、経済、社会を、圧倒的な文献をもとに精緻な分析で予測する。
吉見 俊哉[ヨシミシュンヤ]
内容説明
復興と成長の時代、豊かさと安定の時代、衰退と不安の時代、次は何の時代?本書では、二五年単位を核として、一五〇年、五〇〇年といった長期の尺度も用いながら、歴史を構造的に捉えていく。この三つの尺度を駆使すれば、今後、世界が辿る道筋が見えてくる。知的興奮に満ちた刺激的な論考!世代史と世界史を架橋する壮大な試み!
目次
序章 歴史のメガネをかける
第1章 二五年単位説―一八四五年から二〇二〇年まで
第2章 世代間隔と人口転換―二五年単位説の人口学的理解
第3章 長期波動と資本主義―経済循環から眺める世界史
第4章 五〇〇年単位説―近代の「入口」と「出口」
第5章 二五年後の未来 長い一世紀後の未来―未来の尺度
終章 世代史と世界史をつなぐ
著者等紹介
吉見俊哉[ヨシミシュンヤ]
1957年、東京都生まれ。東京大学大学院情報学環教授。同大学副学長、大学総合教育研究センター長などを歴任。社会学、都市論、メディア論、文化研究を主な専門としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの発展で中心的な役割を果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
26
25年、150年、500年を一つの尺度として歴史を俯瞰すると未来がある程度予測できるというのは読んでいて楽しかったです。2025/02/09
小鈴
23
凄い本だ。直後の感想をとどめておこう。目次を見ただけでわかる。見田宗介「現代社会はどこに向かうか」論文の吉見俊哉からのラブレターなのだ。生物としての人類の歴史から資本主義いわゆる近代をロジステック曲線から語り、曲線を上りきった後に訪れる平衡な社会(高原)の思想について思索する見田。吉見は社会科学の知を動員して資本主義の時間のリズム、歴史の眼鏡を説明してついに5章で大予言へ!が、そこは残念。吉見は学者であって思想家ではなかった。その先の世界の片鱗は見田の言葉を聞いた方がよい。 でも、とてもよい本でした。2018/01/13
樋口佳之
21
コンドラチェフとは随分久しぶりに聞く名前/親子世代間隔の25年はなるほどかも。ギリギリ兄弟姉妹が収まる10年は確かに短過ぎ/拡張期にあっては関与する諸主体がいずれも拡張の恩恵に与かることができ、したがってこれらの諸主体は相互に調整しながら全体の秩序を維持していくことができます。/社会全体が収縮期に入っていくと、諸主体は相手の領分に侵入し、衝突や血みどろの競争が始まります。/海の波も砕ける時はカオスだしね/しかし、本当の変革は困難な時代にしか起こりません。/もう少し長生きしたくなる内容でした。2018/01/16
rico
19
歴史を俯瞰し、未来を見る手がかりとなる一冊。時間というモノサシをあて、色々な角度から光をあてていくと、歴史が一定の周期で動いていることが見える。法則性がわかれば未来も見える。暗記に苦しめられた歴史も、こういう見方で学べば楽しい。筆者が押してる25年というモノサシだけでなく、他の色々なモノサシを使ってみても、どうやら今は歴史の大きな転換点に差し掛かっている模様。覇権がアメリカから中国に移っていくあたりまでは想定できるとして、次のブレークスルーはどんな形で来るのか。そもそも人類はもちこたえるのだろうか。2018/04/13
coolflat
16
歴史には一定の周期性がある。本書は、コンドラチェフ、シュンペーター、ロストウ、マンデル、ウォーラーステインなどの論者が唱える、25年周期説、150年周期説、500年周期説を分析し、これらの周期予測から2020年以後の未来を予測している。本書を読んで膝を打ったのは、1970年代以後の歴史が緩やかに減速(衰退)しているということだ。同じ25年間でも、例えば、1870年から1895年(明治維新~日清戦争)や1945年から70年(敗戦~経済大国)と比べて、1970年から95年では、歴史の変化のスピードが全く違う。2018/01/04