出版社内容情報
日本には狭い空間で豊かに暮らす知恵がある
「ウサギ小屋」とも揶揄される狭い日本の住宅事情だが、夏目漱石や内田百けん、高村光太郎などは、二畳や三畳で豊かな生活を送っていた。豊富な事例から、日本人の「住」とは何かを問い直す。
内容説明
かつてウサギ小屋などと海外から揶揄されたように、日本の住宅事情は劣悪だとされている。だが夏目漱石や内田百〓(けん)、高村光太郎など極小の空間を楽しみながら住んだ先人たちをみると、広さのみが豊かさに通じるとは言えないのではないか。本書は、究極の住居の実例を示し、住むことの根源を考えてみようとするものである。狭い住居の工夫を知って身の丈の生活の意味を再検討する。
目次
はじめに―狭いながらも豊かな空間
第1章 内田百〓(けん)、二畳に夫婦で住む―作家が語る小屋生活
第2章 高村光太郎の山小屋―雪深い里で詩作にはげむ
第3章 永井隆の二畳の如己堂―原爆の町で平和を求めて
第4章 多摩川渡船場二畳の小屋―氾濫したら持ち運ぶ
第5章 夏目漱石・中村是公、二人の二畳の下宿―予備門時代を語る漱石
第6章 正岡子規の病床六尺―ふとん一枚、これが我が世界
第7章 四国、村はずれのお茶堂―遍路たちの一夜の宿
第8章 建築家提案の最小限住居―極小空間の特色
おわりに―狭いながらも楽しい我が家
著者等紹介
西和夫[ニシカズオ]
1938年東京都生まれ。東京工業大学大学院博士課程修了。神奈川大学名誉教授。日本建築史専攻。歴史・民俗・美術史と学際的な交流を続け、長野市松代町・島根県江津市・山形県長井市などの町並み調査と町づくりを行う。1983年日本建築学会賞、1993年、千野香織との共著『フィクションとしての絵画』で小泉八雲賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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