内容説明
現在のアメリカを理解するためには、その歴史を知ることが最短の道である。過去を学ぶことにより、今後のアメリカが進む道もみえてくる。本書は、多くの日本人が知らない、しかしアメリカ人にとっては常識ともいえる、さまざまな歴史の裏と表を紹介する。アメリカに対する漠然としたイメージを覆す、意外な歴史的事実から、この国の本質が理解できる。
目次
第1章 アメリカ史の裏側(独立宣言はイギリス国王への悪口こそが目的だった;奴隷解放の戦いではなかった南北戦争;アメリカ国歌はなぜノリがよいのか;奴隷にも格差社会があった)
第2章 不可思議な政治・経済(二大政党の政策は逆転していた;知られざるアメリカ社会党・共産党の活躍;大恐慌を克服したのはニューディール政策だったのか?;四六〇〇万人の無保険者がいた不思議)
第3章 「アメリカの戦争」を検証する(謀略に満ちたアメリカの戦争;原爆は京都に落ちるはずだった?;戦争によって拡大した女性の権利;ヴェトナム戦争の遠因は日本占領にあった)
著者等紹介
杉田米行[スギタヨネユキ]
1962年生まれ。大阪大学大学院言語文化研究科准教授。一橋大学大学院法学研究科修士課程修了。米国ウィスコンシン大学マディソン校歴史学科博士課程修了。歴史学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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skunk_c
47
10年ほど前の著作。確かにこの著者が子どもの頃なら「意外」(例えば南北戦争の目的は奴隷解放ではないなどは、確かに僕の子どもの頃には意外に思えた)だった内容だが、最近では随分定着したんじゃないかと思う。真珠湾のルーズヴェルト陰謀説は慎重に排しているし、世界恐慌後のアメリカ経済復興の主因が第2次世界大戦というのは、今では常識だと思う。その中で「意外」だったのが、ベトナム戦争と日本占領の関係。東南アジアを戦後復興後の日本市場にしようとアメリカが考えていたとか。もちろん東西対立の下でだが。調べてみようかしら。2020/02/18
しもふさ
5
「意外史」とありますが奇を衒った内容ではありません。アメリカ史上の主要なトピックが要領よくまとめられていてコラムのような読み味。短時間で網羅的にアメリカ史について知ることができます。各章のテーマ選びがアメリカの素朴な疑問に応えるものであり、テーマ選定が上手だなあという印象です。妙なイデオロギーもバイアスもなく入門編として安心して読める一冊です。大統領選挙に関するニュースが増えつつある時期なので、さらに選挙をたのしく観戦(?)できそう。また、ローズベルトの歴史上の影響力の大きさを再確認することができました。2020/02/21
ちくわん
5
あとがきの「アメリカは矛盾を抱えた超大国である。」という一言に尽きる。アメリカは比較的新しい国なので、その分歴史もコンパクト。欧州、アジアは国名も国境も変わってしまうので辛い。また、本書は、一頁縦42文字、横14行で目が悪い初老男性に優しい文字サイズであった。2018/12/08
むとうさん
4
独立戦争から医療制度改革まで、アメリカの「意外な」歴史を現在と繋げていく試み…言うほど「意外」な事実が出てこなかったような。フェミニズム問題を一時期齧った身としては女性の権利向上の話が面白い。黒人解放とパラレルなのだね。だからこそ日本だと難しいのかも。一番「意外」だったのはベトナム戦争が日本のためだった?ということ。東南アジアの市場としての重要性は今でも変わらない。あとがきの「複雑で多面性を持つアメリカは人間の鏡像」はちょっとカッコよく笑、「複雑で多面性」という言葉でごまかされたようでもあり。2013/02/10
Mitz
4
“お隣の国”であるアメリカについてよく知ろうと思い手に取ったのがこの本。イギリスからの独立の経緯、南北戦争、二大政党制、大恐慌、保険制度、アメリカが参加した各戦争のことetc.の概要がよく分かった。アメリカについて無知なので断言はできないが、“意外史”ってのは大袈裟な気がする。『なるほど!知っておきたいアメリカ史の基本』ぐらいが妥当だろう。2012/05/06