内容説明
デフレ、エロカワ、少子化…時代の映し鏡であるモードを通して、劇的な変化を遂げる社会をリアルにつかむ一冊。
目次
序章 リセッショニスタの復活
第1章 倫理を着こなすリセッショニスタ
第2章 「失わない」ための服装術
第3章 暴走資本主義が愛を蹴散らし、モードを殺す
第4章 現実を超えていくための「マンガ」と「エロい」
第5章 ラグジュアリーと激安品のはざまで
著者等紹介
中野香織[ナカノカオリ]
1962年生まれ。明治大学特任教授。服飾史家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得。英国ケンブリッジ大学客員研究員などを経て、文筆業に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ミエル
31
2010年著、干支が一回り以上しているので、描かれた当時からはファッショントレンドは何回転半もしている。まとめサイトのような読みやすさが好感触だったので、是非定点観測がてら定期的に続編を出してほしい。(もう出てたらごめん)ファッショントレンドと経済動向、このテーマだけならよくあるけれどエロを追加しているところが興味をそそられた。こんな卒論書いたらものすごく褒められるだろうな、とか笑。個人的には、エロの持つパワーとコアなファッション原理観念に左右されるヒトの理性の攻防について突っ込んで欲しかったかも。2025/01/16
クナコ
9
初読。著者作は「モードの方程式」が好きでその他何冊か既読。2009年頃のファッショントレンドについての連載をまとめた本。贅沢思考の財力誇示ファッションからの、フェアトレードや天然素材、職人志向の倫理誇示ファッションへの移り変わり方が、近年話題になりがちなSDGsブームに似ている。皆それが良いこととしてもてはやしているが、実際に提案されている商品や売り方は果たしてその大義に適っているのか。考えさせられる。後半の「かわいい」と「エロい」については、モード門外漢なりに納得できる部分と首を傾げる部分があった。2024/10/19
Yukiko
9
軽く読めてしまうエッセイで、少し物足りなかった。21世紀の最初の10年のファッション界についての分析で、東日本大震災、「フクシマ」の原発事故の前に書かれていながら、古さを感じないのは大筋で要所を抑えているからかもしれない。でも、グローバルな分析なのか、日本社会に限定した記述なのか、文脈によって曖昧だったり、詰めが甘い印象を受ける。 本文中に紹介されているダナ・トーマスの『堕落する高級ブランド』が読んでみたくなった。2023/04/23
yk
9
僕はどっぷり服好き期間だったのでおもしろく読めました。ファストファッションについても今でも全盛ですよね。パクリと思われるデザインと貧困層に支えられていると思われる価格はそのうち是正されると思っていましたがさらに進行しているように思えます。そして男女それぞれのファッションの傾向では男は中性化、著者はエディスリマンが牽引したと。僕も好きなのですが確かにサンローランでもそんな感じ。女はエロとかわいいの意味を変えて両極へと。どちらも異性へのアピールではなく性別関係なしのファッションへと向かっているなと思いました。2016/12/21
ギルヲ
6
21世紀に入ってからの10年のファッション界を考察したエッセイですが、『富の誇示から良心の誇示へ』『男女の愛のためのモードが空回りし、倫理が取って代わる』『「カワイイ」と「エロい」に男目線は求められていない』等々、ファッションに疎い私にはいちいち感心させられる内容でした。本の発行から12年を経た今ではまた状況が違うのかもしれないし、初耳のカタカナがたくさん(笑)でしたが、これは良書。引き込まれました。2022/06/24