内容説明
世界的な不況、どうにも是正しようのない格差社会。老舗が傾き、名門企業が沈んで行く。あたりまえと思っていた世界が根底から揺らいでいる今、常識、肩書など何の役にも立たないのだ。「実」と思っていた世界がことごとく「虚」に転じる中、興行というノールールの世界で、大物を口説き、あまたの問題イベントを仕掛けてきた著者の人生から学ぶものは多い。本書には現代の“無秩序”を軽やかに生き抜くための虚人の哲学がある。
目次
第1章 「虚人主義」のすすめ
第2章 本能を覚ませ!
第3章 千の修羅場をくぐる
第4章 悪魔をも受け入れる虚人精神
第5章 現実をマジックにかける
第6章 蕩尽から生まれた新たな虚業
第7章 宇宙の創造主を笑わすときを夢見て
著者等紹介
康芳夫[コウヨシオ]
1937年、東京西神田に駐日中国大使の侍医であった中国人の父と日本人の母の次男として生まれる。東京大学卒業。イベントプロデューサー。在学中から大物ジャズプレイヤーの呼び屋として活躍。モハメド・アリ招聘からネッシー、オリバー君など珍奇でセンセーショナルなイベントを仕掛け世を騒がせてきた鬼才である。また、出版では戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』をプロデュース(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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猫丸
12
21世紀を迎えましてですね、世の中、これ混迷しております。世紀末にはオウム事件、新世紀早々には同時多発テロ。さいきんではリーマン・ショックなんてのもありますですね。日本のみならず世界中の人々が「如何に生くべきか」を見失っているんじゃありませんか。そこでですね、康先生の、虚実皮膜で丁々発止、世間をアッと言わせた興業人生を通してですね、現代ニホンジンの指針となるべき教訓談を、ぜひ一冊御上梓願いたいと、こういう訳なんでございますよ。そんな口説きで書かれたものと見える。やや説教調も含んだエッセイとなってしまった。2023/05/16
go
5
古本屋で適当に買った本だが意外に面白かった。この世は全てフィクション!と思って生活しようかな。最近まじめになりすぎだ。人生は退屈しのぎ、という感覚は少し持ってる。 知識もフィクション、いくら本読んでも賢くはならないという感覚も忘れないように。2019/10/20
トッシー
4
康芳夫という人知ったのは最近で息子さんがラジオで話したことを聞いてアリと猪木の試合を仕掛けたことにこの人が関わったことを知った。20世紀少年にもこの人をモデルにした人がでていたそうで、興味わいた。オリバーくんもこの人が読んできたと聞いてさらに関心が出てきた。この本にもそういう虚業という一般の人間には考えつかないことを実行する力に圧倒された。この本は何が言いたいのかあまりわからなかったけど、この人の生き方にはすごく興味ある。2025/04/29
ceskepivo
3
興行師である著者が最近の「成功本」ブームに警鐘を鳴らしている。特に第7章は読み応え有り。「成功スキルを磨くといったビジネス本や心の癒しをテーマにした安直な人生論ばかりが隆盛しているのを見ると、人の作りというものが薄く軟になったなと思ってしまう」(耳が痛い!)、更に「現実を生きていく中で真理というものはその都度、その都度、見つけていくべきものではないだろうか」(やはり自分で考えていかなければだめなのね)2010/01/07
kerokero_8
2
★★★★☆(星4つ) 刺激的な一冊。たまには、「規格外」の方の思想に触れてみるのも有益だと感じました。 「大金が夢という人たちに決定的に欠けているものがある。それは想像力だ。」 筆者の半生を読むと、妙に説得力のある言葉だと思いました。 2014/08/10