集英社新書
公平・無料・国営を貫く英国の医療改革

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  • サイズ 新書判/ページ数 189p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087205022
  • NDC分類 498.023
  • Cコード C0236

内容説明

無料で公平な医療を全国民に―この理想を掲げて一九四八年、英国の医療システム(NHS)は誕生した。以来英国民はこの制度を誇りにしてきたが、九〇年代には患者の手術待ちが数カ月に及ぶなど、種々の問題が表面化して崩壊の危機に陥った。この事態に果敢に立ち向かい、二〇〇一年から一〇年計画で劇的な改革へと導いたのがブレア以降の労働党政権である。効率化と患者中心の医療の実現など、英国の医療改革の全貌を紹介するとともに、やはり医療の崩壊が叫ばれて久しい日本の制度改革へ向けた具体策を提言する。

目次

第1章 今、日本の医療に何が求められているのか
第2章 英国医療改革とは何か―NHSの果敢なる挑戦(NHSとは―「公平・無料・国営」の揺るぎない理念;英国医療改革の鳥瞰図―決断・戦略・実行)
第3章 医療改革に何が必要か―英国医療改革の実像(「政治の力」―信念とリーダーシップ;「患者中心」―患者の納得と参加;「地域」―医療の地方分権;「公平」―健康「格差」への目配り;「医療従事者」―クオリティの高いサービスを提供できる医師の確保;「プライマリケア」―「かかりつけ医」という安心;「医療の可視化」―「質」と「効率」の二兎を追う;「医療の効率化」―限りある資源の有効活用)
第4章 英国医療改革は何を成し遂げたか―残された課題とNHSの未来(英国医療改革の成果と課題;日本の医療改革へのヒント)

著者等紹介

武内和久[タケウチカズヒサ]
1971年生まれ。東京大学法学部卒業後、厚生省(現厚生労働省)に入省。在英国日本国大使館一等書記官などを経て厚生労働省大臣官房勤務

竹之下泰志[タケノシタタカシ]
1970年生まれ。仏パリ政経学院セルティフィカ課程修了、米ブラウン大学政治経済学部卒業。マッキンゼー・アンド・カンパニーパートナー(役員)。2006年より英国勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kentaro

6
一見全国民に無料で医療を提供するというとどれだけ莫大な医療費になってしまうか心配になるが、そこはさすがに大きな工夫とルールが整備されている。 限りある資源を有効活用するために①医療機関の役割の最適化、②医薬品のコストの抑制、③治療のコスト効率の改善の三つである。 まず、病気の状態、症状などにより一番高い大学病院、一般病院、診療所など、適切な割り振りをすること。主治医制度のGP、看護師、介護士、セルフケアのコントロールをGPが調整し、無駄な治療、無駄な医薬品の投与を抑制するといったことを徹底した。2018/10/18

たけわきさん

2
再読しました。 日本で今、社会保障制度の見直しが行われていますが、英国をモデルとしていることがよく分かります。 その先行する英国でも、さらに良い仕組みとなるよう不断の検討が加えられているとのこと。 難局を乗り切るため、多くの人が参加できる仕組みが必要なんだと改めて思いました。2013/09/08

さそり座

1
09年刊行のため情報は古いが、英国の医療制度の概要と歴史を知ることができる一冊。 他国の医療制度に興味がある方、英国の医療にかかる機会がありそうな方、プライマリケアに興味がある方におすすめ。 限られた医療資源の有効活用のため、かかりつけ医と専門医療機関の分化等は世界的な流れだ。日本もその潮流は間違いなくある。そのため、一モデルとして知っておいて損はない。 あくまで概要であるため、実情面はこちらの想像で補うしかない。ただ、医療システムへの理解という課題はどこの国でも抱えているのだと英国世論を見て感じた。2020/04/05

Hiroshi Horie

1
5年ぐらい前に読んだ本を再読。家庭医(総合診療医)の明確な役割や、予防医療の重視といった当時ツボった箇所に加えて、今回は患者・住民に情報提供することによるエンパワーメントという考え方にグッときました。2016/10/19

たけわきさん

1
医療改革が必要とされる今の日本。英国医療システムのいいところを参考にしながら、我が国の医療体制充実の歴史的な経緯に留意しつつ、未来に責任を持てる持続可能な仕組みづくりを考えたい。2012/10/26

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