内容説明
全五十四帖からなる「世界一古い長編小説」は、全体像を俯瞰のまなざしでとらえてこそ、楽しさ、深さが味わえる。瀬戸内寂聴の語る、孤独で、辛くて、すれ違う千年前の男女の姿。そして源氏研究・第一人者、伊井春樹による物語解説。この一冊で最後の帖まで読み通す力を磨いていけば、人の世のはかなさ、奥深さがくっきりと見えてくる―。このことこそが、物語の力、「源氏力」なのです。
目次
第1部 美しき光源氏―「桐壷」から「藤裏葉」まで(「桐壷」―「源氏力」とは何か;「空蝉」―不倫の香り;「夕顔」―はかなさのなかの機知 ほか)
第2部 崩れゆく栄華―「若菜・上」から「幻」/「雲隠」まで(「若菜」―滅びに向かう光源氏;「御法」―出家できないという悲劇)
第3部 ふたりの貴公子―「匂宮」から「夢浮橋」まで(「匂宮」―もっと人間の真の姿に;「総角」―すれちがう恋の物語;「蜻蛉」―心と身体の葛藤 ほか)