内容説明
全五十四帖からなる「世界一古い長編小説」は、全体像を俯瞰のまなざしでとらえてこそ、楽しさ、深さが味わえる。瀬戸内寂聴の語る、孤独で、辛くて、すれ違う千年前の男女の姿。そして源氏研究・第一人者、伊井春樹による物語解説。この一冊で最後の帖まで読み通す力を磨いていけば、人の世のはかなさ、奥深さがくっきりと見えてくる―。このことこそが、物語の力、「源氏力」なのです。
目次
第1部 美しき光源氏―「桐壷」から「藤裏葉」まで(「桐壷」―「源氏力」とは何か;「空蝉」―不倫の香り;「夕顔」―はかなさのなかの機知 ほか)
第2部 崩れゆく栄華―「若菜・上」から「幻」/「雲隠」まで(「若菜」―滅びに向かう光源氏;「御法」―出家できないという悲劇)
第3部 ふたりの貴公子―「匂宮」から「夢浮橋」まで(「匂宮」―もっと人間の真の姿に;「総角」―すれちがう恋の物語;「蜻蛉」―心と身体の葛藤 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キンケード&グリーンウェル
3
源氏物語は面白そうと感じさせてくれる。一度、著者訳の源氏物語を読んだらまた読みたい一冊。著者の人生経験や人柄も伝わってくる。もう亡くなっているが読んでいると作者の喋り方や声が伝わってくるような感じ。2025/04/20
Sosseki
3
ざっとではあるが、最後まで物語の全容を掴むことができただけでなく、よく理解出来ていなかった部分が分かったり、理解が深まったりして役立った。狭い公家、皇室関係だが、複雑で、相関図がないと分からなくなる。2024/03/20
ほんのうさぎ
3
源氏物語の全容が総ざらいできたのがありがたい。これで小説にしろ漫画にしろ挫折せずに楽しめそうだ。所々インタビュー的に寂聴さんと近藤サトさんのお話が入っているのも箸休め的でバランスがよかった。寂聴さんの考察や妄想(笑)とか興味深かった。紫式部は稀代のストーリテラーだわ…。2020/01/12
だいこ
3
この本は源氏物語を大まかに知るのになんともベストな本でした。 寂聴さんとの対談もまた楽しく読むことができました。2010/04/06
呼吸器内科医K
2
瀬戸内寂聴さんの源氏物語を読んだのが10年前。源氏物語の面白さと深さを再確認できた。光源氏の光の時代の後、闇が訪れ、視覚を嗅覚が補うようになり、匂と薫が重要になったというのはとても面白い考察!2023/06/20