内容説明
仏教伝来から江戸時代まで、私たちの目の前には「神社の中に寺院があり、寺院の中に神社がある」風景が、何の不思議もなく当たり前にあった。たとえば「お伊勢参り」は、神宮に参拝し、道中の多くの寺院にもごく自然に参詣したのである。しかし、明治政府草創期の数々の「神仏分離」政策以降一四〇年、神道界と仏教界は、いわば「不自然」な関係の中におかれた。それが今再び、本来の神仏同座の精神をよみがえらせたのである。特別参拝の伊勢の神宮から比叡山延暦寺まで、紀伊熊野、奈良、京都の世界遺産を含む西国一五〇社寺による「神仏霊場会」の設立と「巡拝の道」の誕生である。この世界的な訴求力をもつ構想の実現に当初から関わった著者が、その誕生までの経緯と背景をつづる。
目次
第1章 画期的な「神仏霊場 巡拝の道」の誕生(おおらかな神仏共存と、明治初期の「神仏分離」;「綾戸大明神」の法要、大祭 ほか)
第2章 江戸時代の「お伊勢参り」が聖地巡礼のモデル(伊勢参宮の旅は、数百万人の大移動だった;伊勢参宮の旅に四国遍路まで組みこむ ほか)
第3章 神と仏の聖地「山岳」の苦行と功徳(天地が共感し、自然が調和する聖地;山岳宗教の一大霊場「熊野三山」 ほか)
第4章 自然のうちに共存する「古都」の神と仏(古都に生きた人びとの祈りや願い;神々の原風景は「青山四周」の「美地」である ほか)
著者等紹介
廣川勝美[ヒロカワカツミ]
1936年徳島県生まれ。同志社大学文学部名誉教授。「こころの道推進会議」代表幹事、神仏霊場会組織委員長。同志社大学文学部国文科卒業、同大学院文学研究科国文学専攻修了(研究テーマ「源氏物語と浄土思想」)。『ものがたり研究序説』(桜楓社)で文学博士号(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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