内容説明
なぜ病院は、重篤患者を途中で放りだしてしまうのか。また、患部を治療するだけではなく、患者の心とからだ全体を見守ってくれる「良医」にめぐりあうコツとは―。諏訪中央病院で三十年にわたって地域医療に携わってきた鎌田流の医療哲学は、医療従事者にも患者にも、示唆に富むものである。厚生労働大臣との対話をはじめ、医療界への重要な提言に満ちた本書は、病気や介護に苦しむすべての人たちへの、具体的なアドバイスも満載、日本の医療や福祉の問題のツボがよくわかる内容になっている。
目次
第1章 日本の医療はやさしいか
第2章 良医にめぐりあうための10箇条
第3章 あたたかな医療システムをつくりたい
第4章 だれだって、いつか死ぬ
第5章 地域で命を支えるために
第6章 つながる医療が大切
第7章 開かれた医療をめざして
第8章 地域を健康にする医療
第9章 知的でしたたかで賢い患者の10箇条
著者等紹介
鎌田実[カマタミノル]
1948年、東京都生まれ。1974年、東京医科歯科大学医学部卒業。諏訪中央病院で地域医療に携わる。1988年~2001年、同病院の院長。チェルノブイリ原発事故の救護活動にも参加し、ベラルーシ共和国フランチェスカ・スコーリヌイ勲章受章。2000年、『がんばらない』がベストセラーになり、TBSでドラマ化される
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
32
【医療の主役は患者】その患者にとって“いい病院ってどんな病院だろう”と著者は考え続けてきたので、こんな反語的な書名に――。“医療は、やさしくなくっちゃ”と、患者側が医療を取り戻すための処方箋になる書です。最終章に、「知的でしたたかで賢い患者の10箇条」を載せる。【④自分の飲んでいる薬を知っていること】これは大事だ。【⑦生き方をギア・チェンジする勇気を持ちたい)その通りです。【⑧「がんばらない」けど「あきらめない」医療を探す】先生の著者名ですねぇ(微笑)。(⑨「丸ごとのぼく」を診てくれる医療を探す】大賛成!2019/11/30
佐島楓
23
患者さんが最期までその方らしく生きるために医療は何ができるのか。制度改革は進めど悪い方向に向かっているようにしか思えず、非常に不安だ。誰だっていつかは死ぬ。家族を介護することだってあるだろう。医療にかかわる方全員が、「他人事」と思わず人に接することで、少しでも患者さんが楽に過ごせるようになればいい。現状では、病院にかかれるのは元気な人だけのような気がする。2014/09/12
Humbaba
6
医者も人間である異常,無謬の存在であることは不可能である.だからこそ大切なことは,失敗をしてしまった時に,その原因を考え,改善していくことである.これは,単に医療のみではなくて,全ての場所で必要となる考え方であろう.2012/03/06
アルゴン
1
★★★★ いい病院は、いい患者がいないと、そして地域をあげての協力がないとできないということなのでしょう。そもそも医療・介護の分野って当事者の善意がなければ成り立たないでしょうし。国がやりたいこともわかるのですが、現場とは何かしらずれがあるようで。2015/06/09
ユウユウ
0
「がんばらない」けど「あきらめない」それは本当に難しいことだ。本人も支える人たちも。けれど筆者そして周りの人々はそれに近づくために努力している。数十年前とは違い、病気=伝染病ではなくなり、予防医療が主流になりつつある今(もちろん伝染病だから隔離なんて愚かな意味は毛頭持っていません)、病院はより地域に開かれたものになるべきであろう。その可能性や実現性をはっきりと示してくれる。様々なボランティアの人々が集まっている様がとても温かい。