集英社新書
物理学と神

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  • サイズ 新書判/ページ数 253p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087201741
  • NDC分類 420
  • Cコード C0242

内容説明

「神はサイコロ遊びをしない」と、かつてアインシュタインは述べた。それに対し、量子論の創始者ハイゼンベルグは、サイコロ遊びが好きな神を受け入れればよいと反論した。もともと近代科学は、自然を研究することを、神の意図を理解し、神の存在証明をするための作業と考えてきたが、時代を重ねるにつれ、皮肉にも神の不在を導き出すことになっていく。神の御技と思われていた現象が、物質の運動で説明可能となったのだ。しかし、決定論でありながら結果が予測できないカオスなど、その後も神は姿を変えて復活と消滅を繰り返し、物理学は発展し続けている。神の姿の変容という新しい切り口から、自然観・宇宙像の現在までの変遷をたどる、刺激的でわかりやすい物理学入門。

目次

第1章 神の名による神の追放
第2章 神への挑戦―悪魔の反抗
第3章 神と悪魔の間―パラドックス
第4章 神のサイコロ遊び
第5章 神は賭博師
第6章 神は退場を!―人間原理の宇宙論
第7章 神は細部に宿りたもう
第8章 神は老獪にして悪意を持たず

著者等紹介

池内了[イケウチサトル]
1944年兵庫県生まれ。京都大学理学部物理学科卒業。同大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。名古屋大学大学院理学研究科教授。講談社出版文化賞、産経児童出版文化賞などの受賞歴がある
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

たー

14
タイトルから想像した内容とはちょっと違った。無理やり神だ悪魔だとこじつけた感あり。2012/07/28

弥勒

12
物理という分野を神や悪魔とともに変遷してきた歴史を記述しながら、専門用語も噛み砕いて書いてあったのですごく分かりやすかったし、おもしろかった。また、宇宙論が主に書かれてあって、そこから、「科学によって得た知識はあくまで部分であり、未知の領域は大きく広がっている」という主張から、科学を盲目的に信ずる危険を示唆しいるようなところは特別な印象を受けた。科学についての興味がわいてきたので、これ以外の科学の本も読んでみようと思った。2015/09/18

6 - hey

12
科学史をかなり噛み砕いて紹介されています。 パラドックスの話が面白く、つい「そういえばなんで目の前の人においつけるんだ?」と真剣に考えてしまいました(笑)2013/06/07

くろほ

12
着想が素晴らしい。物理学の変遷を「科学者たちが神をどう扱ったか」という切り口で捉えることで、難解そうな理論や学説がぐっと親しみやすく感じられる。アリストテレス自然学とキリスト教神学を無理矢理ひっつけたトマス・アクィナスは勿論、ニュートンもアインシュタインも量子論も宇宙論も皆、「神」という概念と無縁ではいられない。無限宇宙の可能性が叫ばれたり、経済にまで物理学者が手を伸ばしたりしている中、神は今どこでほくそ笑んでいるのだろう。「人間原理」や「宇宙定項」の後世の評価も気になる。物理学の全体像を掴みたい方に。2013/03/09

Z

11
途中までは良かった。物理学の歴史を分かりやすくまとめる。一章、近代科学(デカルト主義)、アリストテレス、キリスト教の対立の整理。二章神に代わりラプラスの悪魔とマクスウェルの悪魔を出し、ニュートン力学と熱力学をさらっと説明するのは優れる。三章のパラドクスの整理もいい。四章からミクロ、原子以下の世界へ行き量子論。確率論の世界へ。そこから複雑系やフラクタルにいくが、テーマが多岐にわたって、それまでの明晰な調子が崩れた感がある。多分数学的に複雑な知識が必要なのを一般書籍でまとめる困難さによると思うが、後半だけ 2018/03/19

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