内容説明
『赤の神紋』の再演を宣言し、オーギュスト候補にケイの名を出した榛原憂月。ケイがそのことを知ったのは、すべてが動き出した後だった…。響生は榛原の話を断らせようとするが、そこに渡辺奎吾が現れる。ケイのデビュー会見と、プロダクションの決定を伝えるために。目まぐるしい状況の変化に、混乱し、反発を覚えるケイ。しかし、渡辺の一言で、榛原に会うことを決め、成田へと急ぐ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
10
無名にも関わらず、「赤の神紋」オーギュスト役に抜擢され、演劇修行のために業界に曳づりこまれ、妬み嫉みを買うケイと自分が耐えられないからこそ、ケイに別れを告げた連城。互いの毒が廻っているにも関わらず、別れる2人が抱えた心の虚ろが悲しいです。そして二人の縁の始まりでもあった奈良の再会。見出された慟哭を体現できるアンゲロスはどこへいくのだろうか?舞台で魂を削るような榛原と今までの彼を知る者の印象に高みへ目指す純度が高いが故に突出して孤高になった道がうっすらと見えたにも関わらず、戦慄するしかありません。2012/06/08
りつか
4
コバルト年末年始読み放題キャンペーンにて。今年は年明けてしばらくしてから気づいたのであまり読めなかった…。5章読みかけで期限到来だったので、続きは読む。絶対読む(じゃないと消化不良感がものすごい)2022/01/08
たろさ
3
止まらない。いや、止められないのか。続きがむちゃくちゃ気になって。後書きの、「(連城)もうケイと結婚しちゃいなよー」に一票。周り中、敵だらけのケイを、放っておけるわけが無い。2018/11/06
hanako
3
再読。ニューヨークから帰還し、強く演技することに駆られたケイが榛原の策略(?)にもまれる第四作。/いつもいつも「不穏」としか言いようのない二人の関係に、ついに決断された離別。もともと歪に「二人」でいた彼らはひとりになって渦にのまれていく。/一作一作のスピードが速く、特に空間の移動も楽々と読ませてくれるのが爽快。近くても重なることはない人間の心とか、それぞれの人物が出るたびに分けられているよなと思う。/互いに執着と向き合わなければならず、全く異なるものであるはずなのに、愛情を当てはめてしまうのがいいな。2011/05/27
ロェント
2
再読。2016/03/20