出版社内容情報
天皇の権威の源泉は、「芸能」にある。和歌・管弦を極め、茶の湯や立花、学問に励んだ天皇の歴史から、日本文化の深層が見えてくる。講談社創業100周年記年企画として刊行され、高い評価を得たシリーズの学術文庫版、第10巻。最終回配本となる本巻では、古代から近世まで、和歌や音楽、学問、茶の湯など、「芸能」が天皇と日本の歴史の中でいかに大きな意味を持っていたかを解明してく。
第一部は、10世紀初頭の『古今和歌集』から500年続いた二十一代の勅撰和歌集を縦糸に、古代・中世の天皇による多彩な和歌の活動を解説。
第二部は、今様の後白河院、琵琶の後鳥羽院など、「声わざ」と管弦に長じた「芸能王」の系譜をたどり、皇位継承と秘曲伝受の密接な関係を解明する。
第三部は、戦乱の時代を乗り越えて、古今伝受など近世和歌がいかに復興し、継承されたかを見ていく。
第四部は、天皇家における漢学の尊重、立花の後水尾院、茶の湯の後西院など、諸芸を愛好し、和漢の学問に励んだ天皇と、日本の伝統文化の深層を探る。
[原本:『天皇の歴史 10巻 天皇と芸能』講談社 2011年刊]
渡部 泰明[ワタナベ ヤスアキ]
著・文・その他
阿部 泰郎[アベ ヤスロウ]
著・文・その他
鈴木 健一[スズキ ケンイチ]
著・文・その他
松澤 克行[マツザワ ヨシユキ]
著・文・その他
内容説明
天皇の権威は、“芸能”によって確立した。『古今和歌集』などの勅撰和歌集は、なぜ二十一代も編纂され、和歌の伝統は戦乱の世をいかに乗り越えたのか。琵琶の後鳥羽天皇、今様の後白河天皇など、「声わざ」と管絃に生きた「芸能王」の系譜とは。立花の後水尾天皇や、茶の湯の後西天皇など、諸芸を愛好し学問に励んだ天皇の姿に、日本文化史の深層を探る。
目次
第1部 天皇と和歌―勅撰和歌集の時代(王朝和歌の成立;中世和歌の展開)
第2部 芸能王の系譜(芸能王の登場―声わざの帝王・後白河院;芸能王の確立―琵琶の帝王・後鳥羽院;両統迭立のなかの芸能―後深草院と後醍醐天皇)
第3部 近世の天皇と和歌(宮廷歌壇の充実;後水尾院をとりまく人々;歌壇の存続)
第4部 近世の天皇と芸能(天皇と学問・和歌;天皇の茶の湯)
著者等紹介
渡部泰明[ワタナベヤスアキ]
1957年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専攻は和歌文学
阿部泰郎[アベヤスロウ]
1953年生まれ。名古屋大学大学院文学研究科教授。専攻は中世の宗教文芸
鈴木健一[スズキケンイチ]
1960年生まれ。学習院大学文学部教授。専攻は近世の文学、詩歌史
松澤克行[マツザワヨシユキ]
1966年生まれ。東京大学史料編纂所准教授。専攻は日本近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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