出版社内容情報
終戦直後の日本に生きる家族を縛る「血」と「土地」。19世紀末のロンドンを懸命に生きる身寄りのない少女。生きる目的を知らぬまま戦国乱世を駆け抜けた一人の青年。戦後の日本、神に愛された声を持ちながら、誰にも理解されずに生きる男の生涯。死をも知ろうとする哲学者・ソクラテス。永遠の生を持っている不思議な少年が、時代を超えて「人間」を見つめる。人間の光と闇をきらびやかに描く不朽の名作、ついに文庫化。
終戦直後の日本に生きる家族を縛る「血」と「土地」。19世紀末のロンドンを懸命に生きる身寄りのない少女。生きる目的を知らぬまま戦国乱世を駆け抜けた一人の青年。戦後の日本、神に愛された声を持ちながら、誰にも理解されずに生きる男の生涯。死をも知ろうとする哲学者・ソクラテス。永遠の生を持っている不思議な少年が、時代を超えて「人間」を見つめる。人間の光と闇をきらびやかに描く不朽の名作、ついに文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
47
文庫にて再読。滲みる。一話一話が一冊の良質な小説を読み切ったかのような充足感を与えてくれる。人間は“ただ生きるだけじゃ駄目だ”と語りかけられたかのようだ。『狐目の寅吉』の邪悪でもあるが清廉な生きざま。万作やエミリーが乗り越えた試練。欲望に歪まなかった鉄雄の歌声。そしてソクラテスの達していた意識の高み。絶望に負けない希望、人間はどこまで行けるのだろう。人間て不思議だ。2020/11/09
chiyo
5
★4.0 様々な国や時代に現れる、金髪の不思議な少年。人間を陥れるために現れたのかと思いきや、実際には人間を知るために深層心理を探りに来ている感じ。相手を逆なでしそうなことを吹き込みながらも、結局はその対象が満たされているのが印象的。が、その反面、人間の醜い部分や狡い部分もしっかりと描き、愚かでどうしようもない種だと痛感させられる。それでも、人間には“心”というものが存在し、悔いることも赦すことも人間にしか出来ない。全5話が収録されているけれど、どれもが甲乙を付けがたい面白さ。今後の少年の成長が気になる。2020/07/19
カツオ
2
『誰かと…話したい……』『話し合わないと意味がないのだ。見ただけでは…分からないのです……』2018/02/27
まりこ
2
狐目の寅吉が面白かった。生きるって難しい。2017/11/02
青猫ノラ
1
永遠の命を持ち、時空を越える力を持つ「ファウスト」的少年が、様々な人間に出会っていく。『天才柳沢教授の生活』の終盤でみせた、山下和美の「人間への探求心」。そのテーマが、この作品でより明確化。雑誌掲載間隔を十分に空けている分、各話とも非常に高い質を保っています。時間に消費されない漫画であることは、間違いないです。