出版社内容情報
アダム・スミス[アダム スミス]
著・文・その他
高 哲男[タカ テツオ]
翻訳
内容説明
『国富論』より重要なスミスの名著が、読みやすい訳文で登場!調和ある社会の原動力とは何か?鋭い観察眼・深い洞察力と圧倒的な例証により、個人の心理と社会の関係を解明した傑作!
目次
第1部 行為の適合性について
第2部 功績と欠陥について、すなわち、報奨と罰の対象について
第3部 我々自身の感情と行為に関する我々の判断の基礎、および義務感について
第4部 是認という感情に対して効用がもつ効果について
第5部 道徳的な是認や否認という感情に対する慣習や流行の影響について
第6部 美徳の特徴について
第7部 道徳哲学の体系について
著者等紹介
スミス,アダム[スミス,アダム] [Smith,Adam]
1723‐1790。英国の経済学者・道徳哲学者
高哲男[タカテツオ]
1947年生まれ。九州大学経済学部経済学科卒業。現在、九州産業大学大学院教授、九州大学名誉教授。博士(経済学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
42
当事者と利害の無い観察者をモデル化し(公平な観察者)、その観察者がどの様な感情を持つかと実際の観察者との双方のメカニズムを一致させることで相手を理解して、同質な社会をつくることで社会を安定させる。原理的な批判をすると、「順接が多い」ということになるでしょうか。問題は、これが利己心か利他心かではなく、当事者だけでなく、一致しない観察者も社会は救わないということにあります。後年のリベラリズムの系譜は、価値の違いを乗り越えて連帯していくことが論点になりました。ルソーの「憐み」や、ロールズの「無知のヴェール」など2019/08/26
テツ
14
『国富論』で語られることと同じで、人間は個人個人がみな自己利益(自分がきもちいい)を求めていけば国も社会も上手くいく。何故なら基本的に人間は善性を所有していて、善を行うことがきもちいいからだというお話なのかな。共感を求め、自己肯定を求めてしまう我々が群れの中で自らの利益や快楽を追求するのなら、それはきっと他者のためになる何かな筈。徹底的な反社会的だったり自暴自棄になったりした方以外には当てはまるような気がするな。アダムスミス自身がプロテスタントとして強固な信仰を抱いていたからこその人間という存在への信頼。2022/11/29
Francis
13
10年ぶりの再読。訳は村井章子さんの訳よりは良いかもしれない。ただ、この本はアダム・スミスをもっと深く知りたいという人以外お薦めはしません。「共感」についてスミスが事例を挙げて研究している本であり、アダム・スミス研究者でも難渋しているであろうから。訳者の高先生が「比喩的な表現であるが(略)道徳感情論は人間行動学・動物行動学の生誕を告げるものであった」とあとがきで書いているとおりです。少し前日本一を自称するある読書会でこの本を課題本として三回に分けて読書会をやりましたが結果はあまり想像したくもない(^^;2024/08/21
sheemer
13
本書は1759年に発表され、「国富論」を挟んで1790年に第6版が出されている。国富論が私的財産権の自由な使用により自由経済が発展すると主張するのに対し、こちらはそのような人間であっても、他者の幸福を眺めるだけで満足する喜び、推進力があるという。利己愛と他者愛の両輪の他方である。アダム・スミスを知るというなら「国富論」だけでなくこちらも押さえておくべきだ。 論理を正しく表現しようとする英語の直訳のような文章に慣れると読みやすくなる。訳語が本当はどんな意味なのかを英和辞典で確認していくのもいい。2023/03/11
yukihirocks
10
人間本性に備わる「共感(能力)」を基礎の原理として道徳感情の由来から一般規則の形成、社会秩序の成立を説明しており、その一貫した体系性は魅力的に感じられる――が、随筆的な叙述も多分であり、胃もたれするくらいにボリューミーなので人には勧めにくい一冊である。後のカントの道徳と似ているが、スミスのそれは間主観的なものとして他者との社会性が含意されているという点で異なっており、個人的にはこちらのほうがより地に足のついた現実的なもの、つまりは共感できる論述だと感じた。適合性(値する)、公平な観察者という概念が面白い。2026/05/22




