講談社現代新書<br> 織田信長“天下人”の実像

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講談社現代新書
織田信長“天下人”の実像

  • 金子 拓【著】
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  • サイズ 新書判/ページ数 304p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784062882781
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0221

出版社内容情報

「天下布武」は「全国統一」の旗印ではなかった! 新発見の史料が明らかにする<天下人>織田信長の全く新しい素顔。「戦国大名は天下統一の為に競い合っていた」という戦国大名観は近年では否定されていますが、信長だけは例外と見做されてきました。しかし著者が発見した書簡を初めとする史料から見えてくる客観的な信長像は、他の戦国大名とさほど違ったものではありません。有名な「天下布武」の印章も、信長が「天下を取る」ことを宣言したものではありません。天下とは日本「全国」ではなく、京都を中心とした畿内のことに過ぎません。「天下布武」とは、畿内の秩序維持を、足利将軍をサポートして自分が執り行うという意味なのです。秀吉が行ったのはまさに「全国統一」でしたが、信長にはそういう意志はなかったのではないでしょうか。
 しかし『天下布武』の構想も信長の言うなれば「脳内」のものに過ぎず、「大義名分」として説得力のあるものではありません。信長が足利義昭になりかわって事実上の将軍の職務を担っているからといって、他大名には信長の「言い分」に従わなければならないいわれはないのです。結局、信長は武力で「言い分」を認めさせるしかなくなります。自称「天下をおおせつかっている」信長は、かくして諸大名との衝突を繰り返します。例えば上杉氏とは当初、良好な関係にありましたが、信長の版図が拡大し直接境を接するようになると両者は戦争になります。そのような行動が後世の目で見ると、着々と諸勢力を征服して「天下統一」へと邁進していたかのように見えたのです。そもそも信長は、組織的な「政権」は作りませんでした。征服した領土の経営も家臣に丸投げで、支配の方式に革新的な面はありません。その点でも秀吉に比べ信長の「権力」は中途半端な中世的な段階に止まっていたと見做した方がよいのです。
 しかし、そのような信長も、最後には「全国統一」という野望に目覚めたのではないかと思われる節もなくはありません。四国攻めなど最晩年の軍事行動には以前とは性質を異にした所があり、もしかしたら本気で全国制覇をする気になっていたのかも知れないと著者は考えます。光秀に殺されたために、その真意がどこにあったのかはわかりません。しかし光秀の謀反自体が、このような信長の豹変が惹起させたものである可能性さえ考えられないことはないのです。本書は一切の先入観を廃し、確実な史料だけに基づいて信長の行動を解釈すればどうなるかを解明し、最も新しい知見に基づいた最新の信長像を提示します

はじめに
素朴な疑問/疑問視される革新性
序 章 信長の政治理念
「天下布武」再考/信長と天下静謐/天下一五年/天下と天皇/本書で考えること
第一章 天正改元──元亀四(天正元)年
天正改元の政治史的意義/永禄から元亀への改元/元亀改元の動き/一七箇条意見書と改元/意見書に見る信長の考え方/他
第二章 正親町天皇の譲位問題──天正元年?二年
正親町天皇譲位をめぐって/改元直後の信長の軍事行動/信長の再上洛/譲位の申し入れと延期の謎/天正一四年の正親町天皇譲位/他
第三章 蘭奢待切り取り──天正二年三月
蘭奢待切り取りをめぐって/信長の上洛と蘭奢待拝見申し入れ/蘭奢待拝見まで/信長の配慮/奈良下向の意図/開封勅許をめぐる一通の文書/三条西実枝の不信
第四章 まぼろしの公家一統──天正二年
「公家一統」への期待/三条西実枝の「公家一統」発言/「公家一統」の意味/実枝の立場/信長と実枝/怪異つづきの天正二年/実枝の憂慮/まぼろしの公家一統
第五章 天下人の自覚──天正二年?三年
節目としての天正三年/道路の整備/公家衆への経済支援/信長の叙爵・昇殿/家臣に対する官途・名乗り授与/信長の権大納言・右大将任官/信忠の秋田城介任官/信長任官の目的/他
第六章 絹衣相論と興福寺別当職相論──天正三年?四年
ふたつの相論/絹衣相論のはじまり/天台宗の巻きかえし/信長の上洛と審議やり直し/絹衣相論における信長の立場/奉行衆の役割と三条西実枝の離脱/次期興福寺別当職をめぐる運動/他
第七章 左大臣推任──天正九年
左大臣推任論の問題点/信長の右大臣辞官の上奏状/なぜ信長は右大臣を辞めたのか/南蛮と西戎に向きあう/馬揃と左大臣推任/譲位の提案/金神の忌み/左大臣推任・譲位申し入れの歴史的意義
第八章 三職推任──天正一〇年
「三職推任」というできごと/「三職推任」の史料/「三職推任」は誰の発言か/勅使勧修寺晴豊による将軍推任/「三職推任」は将軍推任である
終 章 信長の「天下」
信長にとっての「天下」/信長の行動の明快さ/本能寺の変と信長のゆくすえ
引用史料・参考文献
あとがき


金子 拓[カネコ ヒラク]
著・文・その他

内容説明

「天下布武」は「全国統一」の宣言ではなかった。信長は改革者ではなく、室町幕府の継承者だった。東大寺正倉院の秘宝「蘭奢待」の切り取りは、天皇の権威簒奪のために行われたのではなかった。天皇は信長を征夷大将軍に推任した。―新史料があきらかにする最も新しい信長像。

目次

序章 信長の政治理念
第1章 天正改元―元亀四(天正元)年
第2章 正親町天皇の譲位問題―天正元年~二年
第3章 蘭奢待切り取り―天正二年三月
第4章 まぼろしの公家一統―天正二年
第5章 天下人の自覚―天正二年~三年
第6章 絹衣相論と興福寺別当職相論―天正三年~四年
第7章 左大臣推任―天正九年
第8章 三職推任―天正一〇年
終章 信長の「天下」

著者等紹介

金子拓[カネコヒラク]
1967年山形県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。現在、東京大学史料編纂所画像史料解析センター准教授。専攻は日本中世史、史料学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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蜻蛉切

29
革命児、旧権力の破壊者といった、従来からの「通説」を再検討しつつ、今日の信長研究の成果や、様々な説の紹介などを分かりやすく紹介している好著である。 例えば、有名な「天下布武」という概念は、従来「全国を武力によって統一」と解釈されてきたが、今日においては、将軍権力の及ぶ範囲(畿内周辺)という解釈が有力となっているといった具合である。 但し、著者自身まだ「想像の範疇」な部分も多くあるとの留保も多々あるので、これを以って「史実」となるかどうかは別問題。 分かり易く且つ慎重な言い回しである点も好感を持った。2020/04/12

chang_ume

15
同時代史料からみると、織田信長はひとりの16世紀人だったことが理解されます。畿内一帯または室町将軍の勢威が及んだ範囲とも定義づけられる「天下」について、「静謐」を志向した信長の事業性質=「天下静謐」が、結果的に他大名とは隔絶した支配圏拡大を招いたという解釈。この場合、信長の構想は「室町将軍と地方有力大名の併存」に近く、後の秀吉による統一事業(征服戦争)とは全く異質です。あとはこれらの解釈が他分野、たとえば城郭研究の成果とどのように照合できるだろうか。「天下静謐」と「天主」を結ぶ像があまり見えてこない…。2020/02/06

skunk_c

15
神田千里氏のものの2月ほど前に出されたもので、基本的な姿勢は共通。特に天皇の意向を図りながら、時に天皇を叱責しつつ、天下静謐を目指そうとする姿勢を新発見を含めた史料から丹念に掘り起こしており、説得力がある。信長が官位に対して余り詳しくなかったのではとの説は、同様の印象を抱いていたので首肯できた。詳しければ信忠に大臣職の禅譲ができないことが分かっていただろうから。最後の三職推任あたりから信長の姿勢が「全国制覇」に変わり、四国責めを企図、これが明智光秀の反乱を誘発したのかもというダイナミックな推論は面白い。2015/09/17

galoisbaobab

13
歴史学ってのは難しいね。記録が点として存在するだけで点を線にして面にして立体にしていくのは人間の想像力。ボクのノブナガ像はそんなにこの本とズレてないのはなんでだろうな。十二国記に出てくる天道に従う愚直な武人ってイメージなんだよね。四国政策をひっくり返したタイミングで天道から逸れ、天道に従う愚直な武人のミツヒデに討たれたってシナリオは嫌いじゃない。2016/11/30

nagoyan

11
優。織田信長は、豊臣、徳川政権のような統一・全国政権を目指したのか。本書は、信長が目指したのは朝廷や幕府の膝下にある畿内近国の平和維持=「天下静謐」であったと説く。それは、基本的には幕府がその責任を負っていた(が、朝廷も一定程度責任を負っていた)。足利義昭と対立したのも義昭がこれを怠ったからであり、また、改元、蘭奢待、譲位、興福寺別当相論なども朝廷との対立を考えるのではなく、実は「天下静謐」とかかわっていたと説く。しかし、「将軍推任」を機に変質した可能性を指摘。本能寺の変の直接的な原因の一つと想像する。2020/05/07

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